HIGHLIGHTみどころ:展覧会構成

1ブルターニュの風景 ―豊穣な海と大地

第1章では、19世紀の画家たちの眼差しを通じて、ブルターニュの3つの風景―海、大地、人々の暮らしを見てゆきます。
恩恵とも脅威ともなるブルターニュの自然、海と大地に暮らす人々の生活に画家たちは関心を寄せ、格好の題材として作品に表しました。

2ブルターニュに集う画家たち ―印象派からナビ派へ

ブーダンやモネなどの風景画家および印象派の画家たちは、ブルターニュの変化に富む海と空に惹きつけられ、自然がみせる様々な表情を描きとめました。ゴーギャンは、「原始的なもの」への憧れを求めてブルターニュの小村ポン=タヴァンに辿り着き、同地に滞在していたベルナールらとともに、後にポン=タヴァン派と呼ばれるグループを形成します。ゴーギャンたちが生み出した新しい絵画表現と美学に衝撃を受けたドニやボナールらパリの画塾仲間たちは、ヘブライ語で「預言者」を意味する「ナビ」を自分たちのグループ名とし、鮮やかな色彩を用いてそれぞれの表現を追究していきました。

3新たな眼差し ―多様な表現の探求

19世紀後半以降、ブルターニュで制作に励んだ画家たちはパリの美術動向と歩みを合わせて、様々な絵画表現を試みました。自然の移ろいを捉えた印象派らしい眼差しがみられる作品が制作された一方、黒を基調とする作品を発表したバンド・ノワール(黒い一団)は、クールベやオランダ絵画からの影響のもと、暗澹たる風景を描き出しました。20世紀に入ると、パリでは鮮烈な色彩を特徴とするフォーヴィスムが誕生し、また、モチーフを幾何学的な形態に分解して再構成するキュビスムが生まれました。ブルターニュの画家たちも、新しい美術思潮を咀嚼しながらそれぞれ独自の画風を打ち立てていきました。

ブルターニュについて

ブルターニュ地方は、フランス北西部の大西洋に突き出た半島一帯を指します。豊かな自然とケルトの伝統を色濃く残す独自の文化をもち、多くの芸術家たちがその魅力に惹きつけられました。広大な海と大地、そこに暮らす人々の生活、同地でしか見られない宗教儀礼や伝統衣装といった風俗を画家たちは描き出しました。絵画を通じた、ブルターニュを巡る旅としてお楽しみいただければ幸いです。