懐かしの校舎へ 福島・双葉町で学校見学会 それぞれの思い出とともに...解体が決まった中学校に別れ
震災と原発事故で一時、全町避難を余儀なくされた福島県双葉町で、解体が決まった学校の見学会が実施された。それぞれの思い出とともに校舎に別れを告げる一日を追った。
<思い出を確かめる>
学び舎に残る思い出を確かめるように歩く2人。
山口俊介さん(41)と井戸川永隆さん(41)は、幼稚園から一緒の幼馴染でここ、双葉中学校の卒業生だ。最初で最後の見学会には、懐かしのユニフォームで参加した。
「あ、先生!」「お~!」「俺卒業以来かもしれない」「そう卒業以来!」「小学校の担任の先生」「南小の」
<校舎は解体 新たな学校へ>
震災当時、220人が通っていた学び舎。
2011年3月11日、あの日行われていた卒業式のまま、時を止めた校舎は解体が決まり、小中一貫の新たな学校の建設が検討されている。
山口俊介さんは「形態が変わるにしても、自分の母校だった場所が新たに使われるということは嬉しいなと思うので、今後も卒業生のひとりとしてみていければ良いのかなと思います」と話す。
井戸川永隆さんは「子どももこの地域一帯まだ少ないので、これから人が増えていけば少しずつにぎわいが戻ってくるんじゃないかなと思います」と話す。
<震災を知らない家族を連れて見学>
「ここに先生の机とかあったかも。で、ここに教台があったかな」
福島市から家族を連れて訪れた玉根香織さん(44)。卒業以来となる母校への訪問を後押ししたのは、意外な一言だった。玉根さんは「『僕も見に行ってみたい』って息子から話があったので、じゃあもう(校舎)無くなるから、お母さんが思い出のある学校だから一緒に行こうかって」と話す。
震災のあとに生まれた小学5年生の煌大くん。自分が知らない「あの日のこと」を目に焼き付ける。煌大くんは「震災のことっていうか、震災が起こったときの現状がわかりました」と話す。
たくさんの卒業生と未来の子どもたちの心にその姿を残して。双葉中学校は2024年度中に校舎の解体に着手される予定だ。