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巨額不正融資のいわき信用組合 総代会で新体制 生え抜きの新理事長選出 信頼回復に向け方針示す 福島

「類例をみないほどに悪質な事案」そう指摘された、いわき信用組合の不正融資。総額は少なくとも247億円に上るとみられている。この不正融資の問題にどう向き合い、今後どのように信頼を取り戻すか?新たな経営陣を決める総代会が開かれた。


■巨額不正融資 その手口

その手口は、大口の融資先を支援するために、実態のない企業を介したペーパーカンパニーを通じた"迂回融資"。そして預金者の名義を勝手に使い開設した口座を通じた"無断借名融資"というもの。繰り返された不祥事の温床とされたのが組織の隠ぺい体質だった。

■いわき信用組合の総代会

預金者は「そういうこと(不正融資)になっていると思わなかったでしょ。上の人がね。だからもう、それ、やらないで下さいって」「全部下ろして他の銀行に移動した方が良いのかなって思っているんです」と話す。
預金者の間に不安が広がる中...いわき信用組合の総代会が開かれた。
総代会とは、組合員の中から選ばれた総代が決算や取扱業務の決定、理事・監事の選任など重要事項を決議する場だ。
いわき市の内田広之市長は「今般のですね、様々な問題・不祥事案はですね、いわき市民にとって、大きなショックでございますし、私のところにも、沢山のですね批判の声が寄せられているところでございます」と話す。



■融資方針について説明求める声

冒頭公開された総代会で、いわき信用組合の本多理事長は謝罪の言葉を述べ約20秒間頭をさげた。「どうぞ当組合の再生と改善のために、教えていただけますように、改めてお願い申し上げます。よろしくお願いいたします」

いわき市に拠点を置く579の企業がメインバンクと認識し、地域経済の重要な役割を担ってきたいわき信用組合。
総代からは今後の融資方針などについて説明を求める声が挙がったという。
「資金繰りに困らないように、今までのように融資を受けさせていだけるのか」
「我々、組合員を優しく見守ってくれるのか、どうか大変心配しております」

これに対し、本多洋八理事長は「信用組合の原点に立ち返りまして、個人のお客様、中小企業の皆様、そして小規模事業の皆様に対して、今まで以上に円滑な金融仲介をさせていただくことを役員一同ここで、お約束させていただきます。ご安心ください」と述べた。



■新役員選出 信頼回復の方針示す

今後の信頼回復として「企業風土の改善」や「経営監視体制の確立」などの方針を示したいわき信用組合。
1「不祥事件の更なる事実関係の精査並びに真相究明の徹底」
2「経営責任の明確化」
3「経営監視体制の確立」
4「企業風土の改善」
5「内部管理体制の確立」
金成茂新理事長など新たに7人の役員が選ばれ、今後の対応を説明した。
金成新理事長は「『物申せない組織体制』ありました。ですから生え抜きの者がなることによって、風通しの良い組織、そちらが作れるのではないかと思っております」と話した。
総代の一人は「返せない人には返せないってハッキリいうべきでしょうね」と話した。



■役員が口座名義人に直接謝罪へ

いわき信用組合は、今後無断で口座を使っていた名義人に対し、役員が直接金額や経緯を説明した上で謝罪することを発表。対象の名義人に対し「すべて残高を処理し、請求などが及ぶことはなく、信用情報にも影響はない」などとしている。

一方、不正融資については、金融庁は立入検査を行い、事実関係の検証を進めていて、東北財務局は6月30日までに業務改善計画の提出を求めている。