映画「国宝」に刺激を受ける農村歌舞伎 担い手不足と向き合い継承 福島県郡山市・柳橋歌舞伎
2025年の「新語・流行語大賞」にノミネートされた「国宝(観た)」。
邦画実写の興行収入記録を22年ぶりにぬりかえた映画「国宝」は、舞台となった歌舞伎界にも影響を及ぼすなか、地方に伝わる伝統の農村歌舞伎にも大きな刺激となっていた。
■農村歌舞伎の担い手にも刺激
福島県郡山市中田町柳橋地区で200年以上続く『柳橋歌舞伎(やなぎはしかぶき)』の伝統を守る宗像大吉さんも"国宝フィーバー"にひそかに刺激を受けたひとりだ。
「私たちは、なかなかあんな演技できないけど、これから心がけがもっと違ってくるのかなって思っている」と語る。
■ならではの魅力に引き込まれ
江戸時代の後期。この地を訪れた旅芸人が伝えたとされる柳橋歌舞伎は、戦争や担い手不足で何度も途絶えたものの、「地域の誇りを守りたい」という人々の強い思いによって幾度と復活を遂げてきた。
宗像さんの先祖は、芸事に熱心すぎるあまり家の財産を切り売りしたほどの"芸能好き"。そんな歴史を悔やみ、若いころは歌舞伎を遠ざけていたものの、いつしかその魅力に引き込まれていた。「野舞台なので観客は外で見る。そういう魅力と、地域の全員でやっている]と宗像さんは魅力を語る。
■継承と向き合って
少子高齢化が進むなか、子どもの役が必要な演目を中心に継続が困難になる現実と向き合いながら、一年、また一年と歴史を紡いでいく。
宗像さんは「200年の歴史がある。先輩たちが作ってきたものを無くしたくはないと思っている。老骨に鞭打ちながら頑張ってやっていきたい」と語る。
映画でも描かれた"受け継ぐ力"。守りたいという心こそ、この地区に残された"国宝"だ。
















