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防災大百科

公助と共助で作る高齢化社会の防災ひとづくり

災害から住民の命を守るために、市町村では様々な防災対策を進めている。市町村の代表者である市町村長や住民代表から、それぞれの地域の防災「わがまち防災自慢」について話を伺う。今回、東京大学大学院の客員教授で防災行動や危機管理の専門家・松尾一郎さんが訪ねたのは、福島県伊達市。
◇【動画で見る】防災を特別なものにしない《わがまち防災自慢・伊達市編》
◇【動画で見る】避難誘導・救出救護を被災した高齢者に課せられるか 地域防災の課題・高齢化

憩いの場が防災拠点

松尾さんが伊達市の須田市長に案内され向かったのは、直売所などがある憩いの場「まちの駅やながわ」。実は防災の拠点でもある。2019年の東日本台風で伊達市では阿武隈川の水位の上昇で大規模な浸水被害が発生。1130の住宅が被害を受け、1800人もの住民が避難生活を余儀なくされた。
まちの駅も浸水したが、1週間で応急復旧。被災者支援ステーションとして、支援物資の配布や炊き出しを行ったという。

最新技術で危険を察知

伊達市では、被害を軽減させるための新たな取り組みが始まっている。それが、国や民間企業と連携し、2023年9月にスタートした実証実験「ワンコイン浸水センサ」
浸水の状況を市の職員が巡回して確認するのには限界があるが、コインサイズのこのセンサーは、浸水を検知すると通信機を通して自治体に知らせる。
「まちの駅」をはじめ、浸水しやすい場所を中心に伊達市内の14カ所に40個が設置された。

市独自でポンプ車を整備

さらに、伊達市独自でポンプ車を整備。25メートルプールを10分でカラにできる排水機能があり、すぐに稼働できるよう市の建設業協会と連携して訓練も行っている。

防災を日常のなかに

また伊達市の防災アプリ「だてなび」は、土砂災害や浸水の危険エリアが分かるマップや聞き逃した防災無線を確認できる。「防災情報」だけでなく、行政手続きのオンラインサービスなど日常使いができる機能を備えている。
防災だけの機能になると、その時しか使わない。普段使いするために、様々な機能を持たせ、日ごろから目に触れるようにしておく。そうすることで災害時にすぐ情報を入手することができ、防災につなげることができる。

防災を特別なものにしない

伊達市の須田博行市長は「市民が防災の意識を高める、その意識を高めるためには、情報をいかに早く伝えるか。そして、もし災害が起きたときには、いち早く減災のための対策をとることが重要。これから市民・行政・企業、皆さんと協同しながら、防災を進めていきたい」と話す。

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災害から命を守るためには、自治体の対策だけでなく住民の取り組みも重要になる。一人一人の行動だけでなく、地域をあげての防災行動が求められるが、高齢化により地域防災の取り組みが困難な地域も出てきている。

復旧に4年かかるほどの被害

福島県伊達市梁川町の山舟生地区を流れる山舟生川。この日は穏やかな流れだったが、2019年の東日本台風では地域に牙をむいた。この被害を受けて、大規模な改修工事が進められている。
「ある程度できた姿を見るとごく自然に見えますが、この周りの農地については洗堀されて」と自治振興会長をつとめる八巻克男さんは話す。

経験したことない恐怖

周囲を山に囲まれているため大雨が降ると川に水が流れ込み一気に増水するエリアだという山舟生地区。東日本台風の時の状況を八巻さんは「めちゃくちゃというような状態で。今後、この場所で農業を続けられないのでというような、ひどい状況。今までに経験したことが無いような怖さで、水が引いたあと、水がここまで上がったっていうのを見て、みんなびっくりした」と語る。

地域のために...被災者支援

八巻さんの自宅は川から離れていたため被害はなかったが、当時「まちの駅やながわ」の駅長を務め、被災者を支援するために奔走した。八巻さんは「まちの駅やながわは被災地に一番近いので、なんとか早く掃除をして、皆の力になるまちの駅にしたいなと考えて」と当時を振り返る。

地域防災の新たな課題 高齢化

八巻さんに地域の課題を伺うと「やはり少子高齢化。少子と言えば子どもがいるようだが、まるっきり子どもがいない」と答えた。
山舟生地区は約600人の住民のうち65才以上の高齢者が半数を超える。防災の基本となる「自助」「共助」「公助」のうち、互いに助け合う「共助」に難しさを感じていた。「皆さんで助け合って避難するのが理想なんですが、高齢化が進むと自分の命を守るのに精一杯で」と八巻さんはいう。

現実的ではない今の規約

地区の防災規約には「避難誘導」「救出救護」など、被災した高齢者にとって現実的ではない役割もあり「命を守るためにどうすればよいか」と頭を悩ませている。
八巻さんは「いま移住者がどんどん増えて、人口が増えてくる、子どもが増えてくるということが期待される地区ではない。地区で手が回らないということであれば、子どもとか、きょうだいとか、親戚のお手伝いを願うほかないのかなと。その辺のルール作りを、こういったシステムがあるんですよということを先駆けて伊達市で作れればいい」と話した。

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