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「人生で一番悲しい"蛍の光"」駅西口の顔・イトーヨーカドー福島店が閉店 店長からの感謝の言葉

「只今を持ちまして39年間の営業を終了させていただきます。長きに渡りまして、ご愛顧賜りましたこと本当にありがとうございます」

5月6日午後7時、JR福島駅西口の"顔"が営業を終了。思いを伝えたのはイトーヨーカドー福島店の吉田博之店長。
「ただいま店内では蛍の光が流れています。私が人生で聞いた中で一番悲しい蛍の光でした。お店の看板は無くなってしまいますが、ぜひ皆さまの記憶の中にはこのイトーヨーカドー福島店と最後まで頑張った従業員がいたことを、ぜひ記憶の中にとどめておいてください」

歩道を埋め尽くすほどの多くの人に見守られ、39年の歴史に幕が下ろされた。
最後の瞬間を見届けた人は「生まれた時にはすでにあって、私同じ39歳なんですけど、当たり前にあったからなくなったらちょっと寂しい。ポッポには、いっぱい行きました」と涙を流した。
学生時代にアルバイトしていて、茨城県から駆けつけたという人は「これで本当に終わってしまったのだなって思う。看板は変わるかもしれないが、ランドマークであり続けてほしい」と話した。

後継店が決まらず、"空洞化"が指摘されるJR福島駅西口。
5月26日の郡山店の閉店により、イトーヨーカドーは県内から撤退となる。


■全文掲載:吉田店長最後の挨拶
皆さん本日はこのような遅い時間までお付き合いくださいまして本当にありがとうございます。従業員一同を代表いたしまして、心よりお礼を申し上げます。
また、お集まりいただいた皆様に一言ぜひ感謝の気持ちを申し上げさせていただきたく、この場に立たせていただいております。
このような多数の方にお集まりいただけると思っていなかったもので、ちょっと人数に対してマイクがちょっとしょぼくて大変申し訳ございません。
本来は、もう少し高性能な設備を用意していたのですが、今日直前に使えないということが判明いたしまして急遽このようなハンドマイクでのご対応となってしまったことをお詫び申し上げます。途中で新幹線が通りますとお話を中断してしまうかもしれませんがぜひご容赦くださいませ。

ただ今、店内では「蛍の光」が流れております。私が人生で聞いた中で、一番悲しい「蛍の光」でした。
最後の十数分間、玄関の方に立たせていただいて皆さんをお見送りさせていただきました。本来でしたら、私たちの方から「ありがとうございました。またお越しくださいませ」とお声掛けするところでありますが、本日は皆様方の方から「ありがとう」「今までありがとう」とお声かけを多数いただきました。ついに「またお越しくださいませ」という言葉は、今日は言うことができませんでした。

お集まりの皆さんイトーヨーカドー福島店は、本日ただいまをもちまして、39年間の営業を終了させていただきます。長きにわたりましてご愛顧賜りましたこと、本当にありがとうございます。従業員一同を代表いたしまして、心より御礼申し上げます。

イトーヨーカドー福島店は1985年1月にオープンしております。そののち1997年に増床改装オープンを果たし、その後現在の形での営業を続けさせていただきました。
39年前、当時の社員から決意表明が発せられております。その決意表明は今では額縁に入りまして、事務所の私の隣のところに飾ってあります。その決意表明「誓いの言葉」というタイトルで飾ってあります。その一節には、このような表現がありました。「駅西口、商業の核として、福島の皆様と、地域の発展のために尽くします」と、そのように記載がありました。
それから39年が経ち、今、私達はその役目を終えさせていただきます。長きにわたりましてご支援賜りましたことを本当に心よりお礼申し上げますありがとうございました。

ちょっとこれ以上喋ると涙が出てきそうなんですがもう少し喋ります。
皆さん今日お買い物されたかと思うんですが、2階の特設コーナーに皆様から頂戴したお客様のお声をいただくコーナーを設置しておりました。見られた方いらっしゃいますかね。書いていただいた方...いらっしゃいましたね、ありがとうございます。実は今日現在で3000枚ほどのお声を頂戴しております。そのうちの120~130枚ぐらいは今ここにいらっしゃる方が書いていただいたと思うんですが。私、毎朝そのメッセージを読んでおりました。
その中には、「小さい頃から親と一緒に買い物に行っていた」とか「部活の帰りに、ポッポで山盛りポテト食べてました」とか。さらには「小さい頃親と一緒に買い物に行ってたけど、今、親になって子供を連れて買い物行ってます」というお声もありました。
まさにこのお店は、皆様方と一緒に成長させていただいたお店です。今日は残念ながら閉店を迎えてしまいますが、本当に今までありがとうございました。

最後になってしまいますが、お集まりいただいた皆様、福島の皆様の、今後ますますのご活躍を、福島の町の更なる発展を祈念いたしまして、私からの挨拶と代えさせていただきます。
最後に閉店が決まって以降も欠けることなく今日までお客さんのためにと今日まで頑張ってくれた従業員一同が後ろに控えております。
私自身も本当に心から感謝を申し上げたいところですが、皆様からもぜひ温かい拍手を頂戴いただけないでしょうか?これ以上喋ってると本当に泣いてしまいそうですので以上にしたいと思います。

この後お店のシャッターが閉まることになります。そのシャッターが再び開くことは、しばらくないのかもしれませんが、ぜひ皆さん今日このお店の風景を目に焼き付けていただいて、お店の看板はなくなってしまいますが、ぜひ皆様の記憶の中には、このイトーヨーカドー福島店と、最後まで頑張った従業員がいたことを、ぜひ記憶の中にとどめておいてください。それが私からの最後のお願いでございます。最後までご清聴いただきましてありがとうございました。