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国際フィーダー航路復活 小名浜港で物流機能強化の動きが加速 巨大クレーン2基体制に【福島発】

物流に関する動き。国内や海外との貨物の玄関口福島県いわき市の小名浜港で物流機能の強化が進められている。

いわき市の小名浜港に設置された高さ約82メートルの巨大なクレーン。
これは、50トン近いコンテナの積み下ろしを行う「ガントリークレーン」で、福島県が約1年半かけて整備した。
供用式で福島県の佐藤宏隆副知事は「2基体制となったガントリークレーンにより、小名浜港におけるコンテナ貨物取扱量のさらなる増加が期待されることであります」と述べた。

福島県内最大の港『小名浜港』
石炭や工業製品など大量の物資がこの港を通って国内各地、そして世界各国へ運ばれる海の物流の拠点だ。しかし・・・「4年前は令和元年台風と合わせまして、そのあともコロナの関係で若干物流が少なくなったという関係もあって」と小名浜港湾建設事務所の服部力主幹が話すように、2017年に扱ったコンテナは2万4000個余り。それが2023年は約1万6000個と、7割以下まで減少した。

要因の一つが、小名浜港と東京や横浜などの港を結ぶ定期航路『国際フィーダー航路』の休止だ。そこで福島県といわき市は業者に働きかけを行い、2月16日、4年ぶりに定期航路の再開にこぎつけた。
これにより、コンテナの取扱量は増える見通しで、福島県は今後も物流機能の強化を進めることにしている。小名浜港湾建設事務所の服部主幹は「この小名浜港を中心としまして、今後いわき市だけじゃなくて、福島県の産業振興につながっていけば良いのかなと思っております」と話した。

<国際フィーダー航路>
扱う貨物の量が増えると、地域の経済にもメリットがありそうだが、その元になる『国際フィーダー航路』とは、どういったものなのか。

「国際フィーダー航路」は日本の中枢の港「京浜港」と「阪神港」が中継点となって各地の港と繋ぐもの。メリットについて福島県の担当者に聞いた。
小名浜港湾建設事務所・服部力主幹は「外貿コンテナ航路につきましては、どうしても韓国・中国を経由してということだったんですが、国際フィーダー航路につきましては、京浜港に直接持っていけますので、輸出入の時間が短縮できるというメリットがございます」と話す。

これまでは、岩手県や新潟県などの港に寄ってから韓国・釜山港を経由して各国へ輸出していた。国際フィーダー航路では、『京浜港』が『小名浜港』の輸出入の中継地点となるため、輸出入に係る時間が短縮される。
荷物をトラックで運ぶ場合も、行き先を京浜港から小名浜に変更すれば、ドライバーの残業時間の制限にともなう2024年問題にも対応できると期待されている。
韓国を経由する航路も継続されるため、選択肢が増えて小名浜港の使い勝手が良くなったと言える。小名浜港の動きが活発になると、地域にもプラスの経済効果が期待される。