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2026年度設立の防災庁って? 福島・いわき市が誘致に名乗り 度重なる災害を経験 知見を全国に

災害への備えが官民で進むなか、国が2026年度の設置を目指しているのが防災庁だ。石破総理は6月23日、国会閉会後の会見で「来年度は十分なエキスパートと予算を有する防災庁を設立する」と言及した。そこで、この防災庁が想定する役割を見てみる。

■防災庁とはどんな組織?
石破総理肝いりの防災庁だが、その役割については「日本の防災全体を俯瞰し」「防災の在り方を中長期的に構想・実現する」とされている。つまり、防災や災害対応の司令塔を担う組織ということ。
これまで防災や災害対応については、内閣府が各省庁の調整役を担っていたが、防災庁は専任の大臣を置き、その機能や権限を強化することを目的としている。
気候変動による水害が頻繁に起きていることや、南海トラフ地震などの国難級の大規模災害に備えた動きというわけだ。

■全国の自治体が誘致に名乗り
また、設置する場所について、石破総理は「分局的な発想はあってしかるべき」と発言。全国のさまざまな自治体が誘致に名乗りをあげるなか、福島県のいわき市も設置に向けた要望活動を進めている。

■誘致に名乗り上げたいわき市
「他の地域では経験したことのないような支援を受けているので、恩返しもしたいと思いますし、経験の蓄積もあると思っておりますので、それを来るべき災害に備え、国民の皆さんに還元したいという思いで、防災庁の誘致を名乗りを上げているところでございます」と改めて誘致に向けた考えを強調したいわき市の内田広之市長。
2025年4月には内閣府を訪問し、要望書を提出するなど活動を行ってきた。

■経験と知見を全国に
2011年の東日本大震災と原発事故、2019年の東日本台風、2023年の線状降水帯など度重なる災害を経験したいわき市。その教訓から28日も約1500人が参加する総合防災訓練を予定していて、これまでに培った知見を全国に還元したいと考えている。

■地域創生にも期待
さらに...いわき市政策企画課の松本真紀恵課長は「様々な防災を切り口とした関連産業の集積も期待できて、そこから雇用も創出されるということもありますので、地域創生という意味でもすごく意義があるものと考えています」と話す。

政府は、2026年の通常国会に関連法案の提出を目指すとしていて、市は今後も誘致活動を積極的に展開していく方針だ。

■福島市も誘致に意欲
防災庁をめぐっては、福島市の木幡市長も誘致に意欲を示しているが、国に対して「被災地同士の誘致合戦にならないような方法で進めてほしい」と要望している。
国は今後、地方拠点の設置場所に関する選定基準を策定する方針。