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特定帰還居住区域の"準備宿泊" 浪江町で初の許可証を発行<福島県浪江町>

浪江町は、福島県内の「特定帰還居住区域」で住民の"準備宿泊"について、7月19日に初めての許可証を発行し、同日からはじまっていることを明らかにした。

町は7月15日から"準備宿泊"の受付を開始していて、申請があった場合には除染の完了状況などを確認したうえで国が承認する手続きが発生する。
これを踏まえたうえで、初の許可証は7月19日に発行された。8月6日時点で5件の申請があり、このうち2件について"準備宿泊"の許可が出ているという。

「特定帰還居住区域」は、立ち入りが制限される「帰還困難区域」のなかにあり、希望する住民が帰還できるよう、国費で除染やインフラ整備を進めるエリア。帰還困難区域を抱える自治体が復興再生計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けて設定される。
"準備宿泊"はこのエリアに自宅がある住民などについて、特例的に宿泊を認めるもので、今回の浪江町の事例が初。
2025年8月6日時点で「特定帰還居住区域」が設定されている浪江町以外の自治体のうち、大熊町、双葉町、富岡町は"準備宿泊"の受付開始時期を未定としていて、南相馬市と葛尾村は除染やインフラ整備の着工日がまだ決まっていない。

浪江町では「特定帰還居住区域」を設定するために、これまでに2回にわたり住民へ帰還意向調査を行っていて、332世帯が「帰還意向あり」と回答している。"準備宿泊"の対象はこの「帰還意向あり」の住民や作業などを手伝うために同行する親戚などが対象となるが、現在、「特定帰還居住区域」内で除染が進んでいるのは、すでに避難指示が解除されたエリアの外縁にとどまっていて、除染が完了し、放射線量が下がっていることが確認されていることが"準備宿泊"許可の前提となる。

また、浪江町では、お盆の時期を迎えるにあたり、帰還困難区域に墓参り目的での立ち入りニーズが高まるなどとして、帰還困難区域にある墓地など6か所で7月15日から立ち入り規制を緩和。通行証の申請を不要としている。

国は、希望するすべての住民が2020年代に帰還することを目指している。