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郡山駅前の受験生死亡事故の初公判 被告が起訴内容を一部否認 争点は故意に信号を無視したかどうか 福島

初公判で、被告の男は起訴内容を一部否認。裁判の争点は「故意に信号を無視したかどうか」だ。

■事故現場に花を手向ける夫婦
福島県郡山市のJR郡山駅前。9月8日もこの場所には花を手向ける人が訪れる。井上郁美さんと保孝さん。1999年東名高速道路で起きた事故。井上さん一家が乗る車は酒酔い運転のトラックに追突され炎上、2人の娘を亡くした。井上さん夫妻がこの場所を訪れたのは、悲惨な事故を無くしたいという思いからだ。
井上郁美さんは「本人が悔しいでしょうし、ご家族の悲しみもあるでしょうし、やっぱり繰り返しちゃいけない、絶対なくさないといけないと誓いました」と話す。

■受験生が酒気帯び運転の車にはねられ死亡
2025年1月、郡山駅前で起きた事故。大学受験のために訪れていた大阪府の10代女性が車にはねられ、死亡した。車を運転していたのは池田怜平被告(35)。酒気帯びの状態で車を運転し、時速約70キロで事故現場の交差点に進入。10代の女性をはね、死亡させたなどとされている。

■初公判で被告が一部否認
事故から約8カ月…9月8日初公判が開かれた。
「赤信号を殊更無視したわけではありません」罪状認否で池田被告は、起訴内容を一部否認。弁護側も危険運転致傷罪の成立について争うと主張した。

冒頭陳述で検察側は、事故前の防犯カメラやドライブレコーダーの映像から複数個所での信号無視や逆走があったことをなどから、赤信号を故意に無視していたこと指摘。運転の形態が極めて悪質だったと主張した。

裁判は午後5時に閉廷し、9日に被告人質問が行われる。

■裁判の争点
今回、池田被告が問われているのが「危険運転致死傷罪」だ。危険な運転で人を死傷させた場合に科される刑罰で「アルコール・薬物の影響」「制御が困難な高速度」などいくつか適用される要件がある。今回の裁判ではこのうち、「信号を殊更に無視して運転」、つまり故意に信号を無視していたかが争点となっている。

検察側は池田被告が事故当時複数の交差点で赤信号を無視し、事故現場でも信号が赤であったにも関わらず、横断歩道に進入したとして「赤信号と分かっていながら無視して進行した」つまり故意による危険運転だったと指摘している。

一方、被告側と弁護側は、飲酒の影響や注意力が散漫で赤信号を見落としていたことなどを9日の被告人質問などから主張し、信号無視が故意ではなく過失によるものと反論する考え。

■遺族が裁判に参加
裁判には、10代女性の遺族も刑の重さなどを述べる被害者参加制度を利用して参加していて、8日は供述調書が読み上げられた。「娘を返して欲しいと毎日考えている」「事故直前に電話したときに、もう少し長く電話していれば事故遭わなかったのではないかと、今でも後悔している」「娘は事故ではなく、犯人によって殺されたと思っている。許すことはできない」こう胸の内を明かした。

裁判は、9月17日に判決が言い渡される。