震災から14年半 福島第一原発では通算15回目の処理水放出開始

福島第一原子力発電所で行われている処理水の海洋放出をめぐり、東京電力は9月11日午前11時25分に、2025年度第4回目(通算15回目)の放出を開始した。9月29日までの19日間で約7,800t(タンク約8基分)放出する計画となっている。
福島第一原発での処理水の海洋放出は2023年8月24日に開始された。
1号機から3号機の原子炉の中に残される事故で溶け落ちた核燃料が固まった"燃料デブリ"に、地下水や雨水などが触れることで発生する"汚染水"から大部分の放射性物質を取り除き、海水で薄めたうえで海に放出する。
約2年が経過した8月25日には通算14回目の放出が完了。これまでに約11万t(タンク約110基分)の処理水が放出されている。
処理水の放出は、敷地を圧迫する1000基あまりのタンクを減らし、廃炉のためのスペースをあけることが大きな目的のひとつ。2025年8月28日の時点で、処理水等の貯蔵量は放出開始前から約5%減少している。貯蔵されている水の中には、放出の基準を満たせていない"処理途上水"も含まれている。
2025月2月からは、放出によってカラになった溶接型タンクの解体も始まっていて、9月3日にまとまったエリアとしては初めて「タンク12基分のエリア」の解体が完了。このエリアは3号機燃料デブリ取出し関連施設の建設場所として計画されている。東京電力は廃炉の進捗に伴い、必要な施設を建設するためのスペースを作る計画を立てながらタンクの解体を実施していきたいとしている。
放出開始以降、東京電力は第一原発周辺海域で海水のトリチウム濃度測定を実施していて、発電所から3km以内で700ベクレルを検出した場合には放出を停止することとしているが、これまでにこの指標に達したことはない。
一方、処理水の海洋放出に伴い、中国が日本産海産物の輸入を全面的に禁止したことなどから、ホタテやナマコを中心に取引の中止をはじめとする損害が発生。中国は2025年6月、約2年ぶりとなる輸入再開を発表したが、処理水の海洋放出以前から禁輸措置が取られていた福島を含む10都県からの輸入停止は継続される。
東京電力は、福島第一原子力発電所での処理水の海洋放出をめぐり、2025年8月27日時点で約840件・800億円の賠償支払いを完了している。
国と東京電力が掲げる福島第一原発の廃炉の完了は2051年。
タンク内のトリチウムがゼロになるのも2051年とされている。