"遠まわしな伝え方"で万引き防止へ 店の売り場に音声で呼びかけ 新装置で全国初の実証実験【福島発】
万引き被害の防止へ新たな一手。ポイントは「遠まわし」な伝え方だ。
福島市にあるスーパー「パワーデポ食品館」。店内に設置された「あるもの」に買い物客も関心を寄せている。「結構目立つので気にはなるかな」「警察って書いてあったので何だろうと思いました」といった声。
近づいてみると、センサーが反応して音声が流れる仕組みだ。
「このお店では、皆様に安心してご利用頂けますよう万引き防止の実験を行っております」装置から流れているのは、万引き被害防止を呼びかける音声メッセージ。8月からこの装置を利用した実証実験を始め、お酒コーナーやお菓子売り場など店内8ヵ所に設置している。
音声メッセージには「ある考え方」が活用されている。
福島県警察本部生活安全企画課の杉崎俊秀管理官は「これは犯罪科学のナッジ理論というものを活用しています」と話す。ナッジ理論とは、人の行動について強制せず「そっと後押しする」ことで、望ましい方向へ自然に促すこと。「万引きはお店に大きな影響を及ぼします」「忘れずにお支払いをお願いします」など直接的ではない表現で万引き防止を呼びかける。
杉崎管理官は「ナッジ理論を活用した万引き防止対策、これを音声で行う事については全国初の試みとなっていますので、効果はあると思いながらも、まだ未知数であるいったところから効果検証を重ねながら進めていくと考えています」という。
2025年7月までに福島県内で認知した刑法犯のうち、約7割を占める「窃盗」。万引き被害も後を絶たない。パワーデポ食品館の佐藤明宣副店長は「もしこの放送を聞いて思いとどまるという方がいれば嬉しく思います」と話す。
この実証実験は今年11月まで続けられ、今後は万引き以外の犯罪抑止にもつなげていく考えだ。