福島県の地価調査公表 住宅地の最高は13年連続で郡山市 進む都市部と郡部の二極化 課題浮き彫りに
各都道府県が基準地の1平方メートルあたりの価格を判定する「地価調査」の結果が、9月16日公表された。全国の住宅地の平均価格を見ると、福島県は40位で2万4100円。2024年からわずかに上昇したが、詳しく見ていくと県内の課題が浮かび上がってきた。
■住宅地の最高は13年連続で郡山市神明町
土地を売買する際の参考価格としても利用される「地価調査」。県内は58市町村・529地点が対象で、2025年から新たに大熊町の住宅地1地点で調査が再開された。
県内の住宅地で最も地価が高かったのは、13年連続で郡山市神明町。2024年より0.7%上昇し、1平方メートルあたり13万6000円だった。学校など教育施設が近く、病院、商業施設へのアクセスが良い場所だ。
郡山市ではコロナ禍の収束に伴い、幹線道路沿いを中心に新規出店も増加。住宅地・商業地ともに県内の地価を牽引している。福島県不動産鑑定士協会のの石田英之副会長は「かなり上昇傾向が続いてきていますので、エリアによってはもう上限値まで達しているところが出てきていますので」という。
■会津や中通り南部の郡部は下落
これに対し、地価の「下限」が見えないのが、会津や中通り南部などの「郡部」。人口減少を背景に土地の取引自体が少なくなっている。福島県不動産鑑定士協会の石田副会長は「これが一体どこまで下がるのか。価格の底が見えない状態にはあると思いますね」と話す。
■福島県の可能性に注目
一方、都内で年間約6万件の移住相談を受け付ける「ふるさと回帰・移住交流推進機構」の高橋公理事長は、地域ごとにさまざまな特色を持つ福島県の可能性に注目している。ふるさと回帰支援センターの高橋理事長は「(今年は)4月・5月・6月・7月・8月と過去最高の(移住の)相談件数を記録しているんですよ。それぞれの地域ごとの暮らし。そういうのをしっかりPRしながらね、粘り強く取り組んでいただければね、結構いい勝負になるかなと」と話す。
■二極化解消へ移住の取り組み
住宅地の平均の下落率が、2番目に大きかった金山町。2年ほど前に石垣島から移住してきた眞鍋一郎さんは、民宿の経営などを行うかたわら、町へ移住を考える人の支援も行っている。眞鍋さんは「一番はやっぱり人の暖かさというのがこの金山町の特徴で、そこが一番大好きな所ですね」と話す。
2025年は7組の相談があり、うち2組の移住が決定。メリットもデメリットも包み隠さず発信することが重要だと考えている。眞鍋さんは「ありのままの生活とか、町の情報を配信することで、来た時に齟齬がないような形になるのではないかなと思います」と話す。
7年連続で下落した地点の数が、上昇した地点の数を上回った福島県。都市部と郡部の二極化の解消へ取り組みが進んでいる。