「効率化は必ず必要になる」人口減少時代に挑む企業の戦略 生成AIで人手不足補う業務効率化 アズビル
企業でも進む「生成AI」の活用。若者など働き手の県外への流出が懸念されるなか、生成AIを積極的に取り入れている企業を取材した。
■全国約30の子会社を統括
東京に本社がある「アズビル」は、建物の空調や工場の生産ラインなどの自動制御システムガス・水道メーターの製造販売など、様々な分野で生活を支える企業だ。
アズビルグループとして全国約30社の子会社を統括していて、福島県内には関連会社も含め施設が7カ所。アズビルの山本清博社長が「今福島にある工場は、主力の工場の一つになっている」と話すように、グループの重要な拠点となっている。
■労務担当の圓谷さん
福島県白河市表郷にある「アズビル金門エナジープロダクツ」白河工場。ここでは400人を超える従業員が働いている。
この工場に勤務する、福島県西郷村出身の圓谷宏明(つむらやひろあき)さんは、総務人事課で労務を担当している。圓谷さんは「RPAといってパソコン・ロボットとか、DX関係の仕事をしている」と話す。
圓谷さんは従業員8000人を超えるアズビルグループ全体の、生成AIをテーマにしたコンテストで優勝した。
■生成AIを社内で活用へ
山本社長は「生成AIはすごいツールだなと思って、これは世の中変わるなと。社内では全力でアクセル踏んでくれと」と話し生成AIに期待を寄せる。
41チームが出場したコンテスト。圓谷さんのチームが提案したのは「生成AIを使って社内提案の企画書を作る」というもの。
圓谷さんはプロンプトと呼ばれるAIへの指示をつくりあげ、見事、満場一致で優勝した。
「作業者にはおそらくイメージがあると思うけど、それをAIに『この問題点どうしたらいい?』と問いかけると、その文章(提案書・企画書)を作ってくれるようなAIを作った」と圓谷さんはいう。
文章や企画書をつくるのが少し苦手な人でも、イメージを伝えるだけで企画書が作成できるため、スムーズな社内提案に繋げることが期待されている。
■AI活用で効率化
圓谷さんは、普段の仕事や私生活でもAIを利用している。仕事では、請求書やメールの作成といった単純作業を自動化、より早く正確に仕事が進むような環境整備をしている。
また会社の就業規則をAIに覚えさせ、従業員の勤務をAIで管理している。
さらに通勤時にも、AIで収集したニュースの情報を音声化。世の中で起きていることを効率的に知ることができるようにしている。
圓谷さんは「生成AIに限らず効率化は必ず必要になる。人口減少でやはり人材の確保が難しいところがあるので、活用して地方でも継続して進められるような使い方というか仕事の仕方が必要」と語った。
■AIに新しい働き方のヒント
山本社長は「人間の価値は生成AIで出来ることの外側にまだまだたくさんあるし、本来そっち側の方が楽しいと思う。決まったことをやるのは生成AIに任せてと。工場があって若者がそこで働いて楽しいと思える所がもっと増えるといいなと思っている」と語る。
生成AIは、福島県で働く選択をした圓谷さんにとっても働きやすい、生活しやすい環境を整備するための重要なツールとなっている。
「福島は交通の便と自然が豊かであるっていうことと、食事がすごくおいしい。福島県で働きたいなと思って仕事をしている」と圓谷さんは話した。
企業の生成AIの導入は、人口減少社会での効率化のツールとして、若者をはじめとした人材をつなぎとめるツールとして、新しい働き方のヒントがつまっていた。