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圧力容器底部に「穴」か 3号機内部画像公開<福島第一原発>

東京電力は3月19日、福島第一原子力発電所3号機の格納容器内で、超小型の"マイクロドローン"を飛ばして撮影した画像・動画を公開した。
撮影できたのは格納容器の内部で、かつて「核燃料の入れ物」だった"原子炉圧力容器"とみられる場所の周辺。圧力容器の底と見られる部分には"つらら"のように付着物がついていた。福島第一原発で圧力容器の底部とみられるものが撮影されるのは初めてで、東京電力は「圧力容器底部の構造物の断面と思われるものも見えた」として「圧力容器に穴が開いていると推定できる」と判断。また、本来は圧力容器の中にあるはずの構造物が落ちている状況も確認できたという。

映像では大きな塊も確認でき、東京電力は「燃料デブリの可能性はあるが、映像だけで判断するのは難しく、今後、放射線量の推定などの詳細な分析を進めていく」としたうえで、「映像で状況を再認識でき、貴重な情報が得られた」とした。

3号機では2037年度以降に燃料デブリの大規模取出しが計画されている。2011年の事故後、原子炉への注水などで格納容器内の水位が高い状態にあり、格納容器につながる経路として整備されているのは比較的高い位置にある内径の小さい配管のみ。今後は内径の大きなアクセスルートの開拓が必要だが、現状の調査として約12cm四方の"マイクロドローン"をこの細い配管から格納容器の中に飛ばし、映像取得などの情報収集をしていた。
東京電力は3月12日にも、圧力容器を支えている土台の外周部分の映像を公開していた。錆のように見える変色している部分などが確認され、東京電力は「燃料デブリが映っているかどうか今回の映像だけでは判断が難しく、現時点で明確な回答はできない」としたうえで、「土台部分に大きな損傷などは確認されず大規模取出しに向けて一歩進んだとは言える」と強調していた。
また、格納容器へとつながる比較的内径の大きな配管についても撮影され、大きな損傷や大きな干渉物は確認されなかった。この配管について東京電力は「取出し装置を挿入するルートとしての可能性はある」としながらも、詳細をこれから確認するため現時点で断定はできないとしている。

3号機の燃料デブリ大規模取出しをめぐっては、2025年7月に東京電力が原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)に工程案を示し、一定の技術的な成立性が確認された。
「気中での取出し」「一部の燃料デブリは充填剤で固めてそれごと取り出す」という工法で格納容器の"横"と"上"からそれぞれ燃料デブリにアクセスする計画。放射性物質の飛散防止などのために設備や建屋を増設する必要があり、東京電力は「準備に12~15年かかる」としている。大規模取出しの開始は2037年度以降とされ、これまで掲げられていた目標である「2030年代初頭の着手」の達成は極めて困難な状況となっている。

マイクロドローンによる調査は、2025年12月の第1週にも実施される計画だったが、12月1日にマイクロドローンを格納容器の中に送り込むテストをしようとしたところ、ドローンを送り込むための装置が目的の場所まで進まず、途中で止まってしまうトラブルが発生。東京電力は「2025年中の実施を断念」とした。
その後の調査で、格納容器の中につながる配管と、2015年に設置した作業用配管の接続部分にズレがあったことが発覚。東京電力は、このズレにより装置の車輪の一部に負荷がかかり段差に引っかかってしまっていたと推定したうえで、車輪を"片側一輪から五輪に増やす"改善を実施。検証試験では装置が段差を乗り越えることができたとして、さらに"押し棒"や"グリップ力の高い素材の装着"などを実施して、調査再開に向けて準備を進め、今回の実施に至った。およそ2週間の調査は3月19日に終了し、あわせて20回ほどの飛行を実施。目立ったトラブルは確認されなかった。

福島第一原発には1号機に279t、2号機に237t、3号機に364tの、計880tの燃料デブリがあると推計されている。
2051年までの廃炉完了に向け、安全かつ着実な作業の実行が求められている。