スマート農業で効率的な米づくり 導入農家は効果を実感 小規模農家や新規就農者には厳しい一面も
備蓄米の販売が進む一方で、国として今後のコメ作りをどう進めていくのかが大きな課題となっている。そんななか、福島県郡山市では、6月12日から最新の農機具を集めた展示・販売会が開かれている。
■福島県内では6年ぶりの開催
郡山市の「ビッグパレットふくしま」で開かれている「クボタBIGサマーフェア2025」では、最先端のテクノロジーを駆使したトラクターやコンバインなど数百点が展示されている。
衛星技術を駆使したトラクターは、田んぼの形や大きさを衛星からの映像で管理し自動で田植えが可能。また、田んぼごとに収量のデータや必要な肥料の量なども自動で記録されより効率的なコメ作りが実現できるという。
■農家ごとに事情は様々
来場者は「スマート農業に興味があって来た。面積が少しずつ増えている部分もあるので、それに合わせて効率を求めていきたいなと思って」と話す。このように作業効率や人手不足解消のため、購入を検討する農家がいる一方で、「大きい農家じゃないと優遇されないから。そんな大きい農家じゃないから、赤字を全部補填して、買うのはローンでも組んでやるしかない」と話す農家もいた。
■導入農家は効果を実感
国が推し進める最新の技術を駆使した、いわゆるスマート農業。福島県白河市の農家・滝田国男さんは、60ヘクタールの広大な農地で、より効率的にコメや野菜を生産していこうと5年ほど前からGPS機能付きのトラクターや田植え機などを導入している。
「効率面だけではなく、労働時間も削減されていることを実感している。いろんな面で優れた機械になっている」と滝田さんはいう。
■手の届きにくさがネックに
一方で、最新の農機具は全体的に高額で、国の補助金制度の活用にも様々な条件があり、小規模な農家や新規就農者には手が届きにくいという。
滝田さんは「補助金などで手が出しやすいような値段になってくれれば、いろんな農家が手を出してくるという気はしている。もう少しコストダウンしてくれると、機械的にはもっと普及するのでは」と話した。
スマート農業の普及には、農業政策の見直しや農家に寄り添う支援策が求められている。