盛土規制開始から1年 行政代執行した福島・西郷村の盛土 大量の土砂による"懸念箇所"は他の自治体にも
福島県内全域で盛り土・盛土(もりつち・もりど)の規制がはじまってから9月24日で1年。大量の土砂への懸念は、県内各地で続いている。
■盛土に初の行政代執行
2025年3月に行政代執行が終了した福島県西郷村の現場。高さはかなり低くなったが、いまだ土砂が残っている状態だ。
2024年8月28日、西郷村真船地区。「盛土規制法第20条第5項に規定に基づき、行政代執行を開始いたします」うずたかく積まれた土が近くの住宅などへ危険をもたらす恐れがあるとして、福島県内で初めて実施された行政代執行による盛土の撤去。建設現場などで出た土砂の処分場所として目をつけられたとみられる。
■盛土規制法による規制開始から1年
県内では、県中・県南を中心に危険な盛土が確認され、1年前の9月24日、全県で「盛土規制法」による規制がはじまった。一定の規模を超える盛土は、事前の許可が必要になり、違反すると罰金などが科される法的な規制となる。
行政代執行近くの住民は「音とかも落ち着いてなんか本当、前と同じってことはないですけどね、落ち着きました。たまたま住宅が近いから、こうやって力入れてくれたと思うんですよ。近くのとこ(別な盛土)はまだそのまんまですもんね。だからもうちょっと規制早くしてくれれば良かったかなと思いますね」と話した。
■県最南端の矢祭町にも大量の土砂
狙われる福島...矢祭町の佐川町長は福島テレビの取材に危機感を語った。
「どうしても福島・矢祭が関東圏の一番近いところですからそういうところで、盛り土のそういう場所を選定されたのかなっていう」と話す矢祭町の佐川正一郎町長。
福島県の最南端、矢祭町。大量の土砂が運びこまれ保安林にまで流れ込んだ危険な現状を約2年前に認識してから、町独自に罰則付きの条例を設けるなど警戒を強めてきた。佐川町長は「現場みても、誰見たって驚きますから。やっぱり迅速な行動をとっていかないと。災害の季節が変わってきてますからね、以前と違いますから」と危機感を募らせる。
この対応をめぐっては、福島県が「盛土規制法」に基づく行政処分を検討している。県によると、これまで別の法律に基づいて「復旧命令」を行ったが、事業者からは「対応できない」との返答。土地の所有者と事業者に対し、現在復旧作業を行う意思があるかどうかを確認していて、これが確認できなければ危険性の排除を求める行政処分を下す方針だ。
■福島県に行政代執行を求める意見書
危険性を速やかに取り除きたい町は8月、県に対して西郷村のような行政代執行を求める意見書を提出したが...「県の回答としては『今の状態ではすぐ崩れる状態ではない』それ以上ね、代執行はちょっといま県ではまだ考えていないっていう回答は得ました」と佐川町長は話す。
大量の土砂に焦る地元...福島県は矢祭町も含め7ヵ所の「懸案箇所」を確認している。
西郷村の行政代執行には約7ヵ月の時間がかかり、費用は1億5500万円にものぼった。この原資は私たちの税金でもあるので、私たち自身もしっかりと監視の目を持たなくてはならない。