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柿の木に熊の爪痕 あんぽ柿の収穫前にクマ被害 イチョウ並木のライトアップは中止に 目撃件数は過去最多

旬の味覚の被害に農家は危機感を募らせている。これから収穫を迎える柿。福島県内でもクマの出没が相次ぐなか、被害が出ている。



■収穫前の柿が熊に食べられる被害

「これ全部食べた跡だよ」「登ろうとした。登って枝を折ってるわけだ」
福島県桑折町の感謝農園平井。11月から収穫を始まる柿がクマに食べられるという被害が出ている。
「50年ぐらいあんぽ柿をやってます。その中で今年が初めてだと思います。今まではありませんでした」と話す感謝農園平井の平井國雄代表。柿畑を歩くとクマの足跡やフン、そして木の幹にしっかりと刻まれた爪痕などクマがいた痕跡が至る所に。10月初め、あんぽ柿作りに向けて実のなり具合を確認していたところ異変に気付いた。
感謝農園平井の平井さんは「一生懸命今までね、手入れをしてきたんですからこれは残念です」と話す。

まだ熟していない実や渋柿も被害にあっていることから、山にエサが不足している可能性があると話す平井さん。収穫が無事に終わることを願っている。「これからだからね。もう10日ぐらいたつと本格的に収穫始まる。従業員が被害に遭わないで、この柿収獲まで終えてほしい」と平井さんは話した。

■イチョウ並木のライトアップが中止に

そして、季節のイベントにも影響が。約500メートルにわたって黄金色のトンネルが続く、福島市のあづま総合運動公園。10月22日から夜間の銀杏並木をライトアップする「光のプロムナード」が予定されていたが、クマによる被害を防ぐため中止となった。
利用者の男性は「ライトアップの銀杏並木は夜は夜で、昼とは違う空間で素晴らしいですけどね。残念ですね」と話す。

紅葉の見頃は来週から11月上旬まで。園によると、日中は通常通りの開園を続けるということだ。

■クマの目撃件数は過去最多

クマに対する警戒が続いているが、今年の特徴的なデータがある。例年6月から8月にかけての目撃件数が多く10月は減少する傾向にあるが、今年度は減るどころか増加している。合計の目撃件数は過去最多の1103件。いつ遭遇してもおかしくないという印象だ。
福島県は警察の情報などをもとに、クマの目撃情報をマッピングした地図を公開しているので、こうした情報をもとにまずは遭遇するリスクを下げることが大切だ。



■襲われたら首や顔を守る姿勢を

そして、万が一クマに遭遇した場合について、福島県野生動物調査専門官の溝口さんは、クマは視力が弱い一方、動体視力は良いため、クマに遭ったらゆっくり後ろに下がること。襲われたら致命傷を避けるため、首や顔を守る姿勢をとることが大切だとしている。