いまから約1300年前の古墳時代に描かれた、新たな壁画が福島県双葉町で見つかった。これは東日本初の大発見だというが、いったい何が"大発見"なのか？描かれていたものからわかることは？

壁にうっすらと描かれた絵。色を補正すると...馬に乗った人物や盾や刀のようなものもはっきりと確認できる。これは、福島県双葉町の清戸迫横穴墓群（きよとさくよこあなぼぐん）で見つかった彩色壁画だ。
双葉町教育委員会の舘下明夫教育長は「赤色顔料を用いて描かれており、人物や動物、武器、舟などの図像も認識でき、保存状態も良好」と説明する。

双葉町の教育委員会が、2024年12月にすでに存在が確認されていた町内の古墳で発見した。6世紀後半から7世紀前半の古墳時代に描かれたと考えられている。
この付近ではこれまでに、人物などを描いた彩色壁画が見つかっていて、同じエリアで2基確認されたのは東日本で初めてだ。

また、「器財（きざい）」と呼ばれる舟や盾などと人物が一緒に描かれているのも東日本では初めて。「器財」を描く傾向にある関東エリアとの文化・地域交流を表す貴重な資料になるという。
茨城大学の田中裕教授は「古墳時代後期から終末期における関東と東北のダイナミックな交流の関係を復元していく時に、これが大きな資料になるだろうと思っている」と語る。

舘下教育長は「これからの双葉町の復興も勿論だが、新しいまちづくりのためにも相乗効果が必ず出てくると思う」と話す。
双葉町教育委員会は、国史跡の追加指定に向けて、2026年度に専門家などで構成される委員会を設置する予定。
＊彩色壁画は状態を保つため一般公開はされていない