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番組情報

 

2019.11.20

台風19号
『経営者の防災知識 計画休業が従業員を守る 事業継続の大事な一歩』

台風19号は福島県に大きな被害をもたらした。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さんと
まだ全容が把握できていない県内企業の被災について話をする。

【福島県4市の商工業被害額は530億円超】
《防災マイスター 松尾一郎さんに聞く》
「台風19号や21号による本宮市の直接被害は、60億ですが
企業活動はその会社のみならず、私たちの消費活動への影響や国内外の生産への影響もある。
つまり間接的な被害を考えると相当になる」

【33年前にも水害に見舞われた福島県郡山市の工業団地】
2度目の被害をうけて事業継続へ不安を抱く経営者もいる。
団地会が行った調査では...
事業継続を「未定」と回答した企業も出始めていて、工業団地の今後に危機感を募らせている。
郡山中央工業団地 団地会 小川則雄会長は「操業を止めてしまうとか大企業で工場を縮小するとか他に移転するとなると、
雇用の問題とか地域の活性化の問題にしても気持ち的にダウンしてきますから...。
水位が高くなる所は、市ももちろんですけど、県・国に訴えて、本当に水害の起きない地域にして頂きたい」と話す。

【浸水想定エリアに立地する企業はどのように水害と向き合えば良い?】
《防災マイスター 松尾一郎さんに聞く!》
「工業団地は、開発と誘致を県や自治体。
工業団地の浸水対策として重要なことは水が入らない対策をしていくこと。
周りに防潮堤のような堤防を作る。止水壁で周囲を取り囲むようなことがあると思う。
県や市が開発・誘致をしていることを考えると、こうしたハード対策は開発側が主体的に行うべき。
企業と県や市町が連携して対策を進めることが重要。
企業側もハード対策はすぐできないことも多いと思うので。
次に備えて部品を高いところに上げるなどあらかじめ行動計画を考えておくことが重要。
災害で企業活動を止めることなくできる。その効果は大きいものがある」

【台風や豪雨の際の従業員の「出社基準」はどうあるべき?】
《防災マイスター 松尾一郎さんに聞く!》
「雨の降り方も風の強さも確実に増しているということを経営者やトップは認識すべき。
従業員を災害から守ることが、企業や会社の業務を正常に継続させることに繋がる。
暴風警報が発表されたら、屋外活動は停止し、計画運休ではないが計画休業にして、
従業員と家族を守る経営者になるべき」

2019.11.13

福島県に甚大な被害をもたらした台風19号から
1ヵ月

台風19号は福島県に大きな被害をもたらした。
あれから1ヵ月...
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さんと
災害を振り返りながら今そして今後必要なことを話し合う。

防災百言
「救えた命がある ひとつひとつの検証が減災社会を作る」

福島テレビと防災マイスターの松尾一郎さんの所属するCeMI環境・防災研究所が共同で
浸水被害が大きかった本宮市や郡山市など9つの市を対象に行ったアンケート調査
(※調査途中のため中間のまとめ結果)

【避難をしたタイミング・きっかけはなんだったか...この調査結果から松尾さんは...】
この調査結果はある意味、行政の避難情報が避難を後押ししたということ。
台風が接近して雨風が強い中、避難所への避難は難しい。
「避難勧告」は各市町村の市長の責任において早めに動かすことができる。
住民が判断するというよりも、行政が早めに判断を促すことが必要になる。

【近所の人と助け合うことはあったか? 誰と避難したか...という調査から松尾さんは】
アンケート結果を見ると8割が同居する家族と避難している。
一人暮らしの方や避難に手助けが必要な方はどうするか...ご近所で助け合う社会を目指すべき!
福島テレビの取材でも声掛けがあって助かったという例もあった。


<台風19号やその直後の大雨被害も「被災者生活再建支援制度」の対象だが...>
被災条件で認定されず制度を利用できないことも。
これについて松尾さんは...
「実際に被災した人と話をしてみると8年前の東日本大震災で被災して移り住んで
また今回の水害で被災したという方が意外に多い。
自宅も職場の東日本大震災から再建している中で再び被災した...これは個人で再建できる限界を超えている。
国や県はこのことを踏まえて他の地域と違う被災者支援策を考えなくてはいけない。
災害で個人の生活が立ち行かなくなると、街に人は戻らない。地域は元気にならない。街が疲弊する。
だから個人の再建というのは地域の復興に重要」

2019.11. 6

台風19号 "ダムの緊急放流"

災害が起きる前に私たちにできることを考えるシリーズ防災大百科。
今回は台風19号と豪雨で注目されたダムの役割について
福テレ・防災担当の井上明記者と話を進める。

【ダムの目的とは?】
大きく分けて「治水」と「利水」の2つに分けられる。
「治水」上流で降った雨を貯め込み下流に流れる量を調整し洪水を防ぐことを目的
「利水」農業や水道などで使う水を安定的に供給するため一定の水を貯めることを目的

つまり、台風などの大雨の際に本来の役割を発揮することが期待されているのは「治水」ダムとなる。

【福島県内のダムでも浸水被害の軽減に結びついたケースが】
「阿武隈川」の支流に整備され、治水機能を備えた「三春ダム」。
台風19号の際に行われたのが、「防災操作」と呼ばれる洪水調節。


<台風19号が接近した当時の総雨量はおよそ300ミリ>
三春ダムでは大量に入ってきた水を下流には流さないでダムに貯め込む対応を取った。
その結果、水位はダムに貯められる高さまであと4メートルに迫る過去最高の329メートルに達したが、
下流の河川の水位の上昇を抑えることができた。

郡山市の阿武隈川では水位を84センチ下げるなど浸水被害の軽減につながったと試算されている。


<防災マイスターの松尾一郎さんも防災操作の必要性を指摘>

「水が超えることによって、堤防は土ですから崩れて決壊に至ることはあるので、
なるべくなら水位が高い状態は短ければ短い方がいい。
防災操作はその効果(決壊を防いだ)もあったと思います」

【台風19号や豪雨の際に注目されたのがダムの「緊急放流」】
「緊急放流」とは大雨で貯水量が急増したダムの決壊を防ぐため、通常よりも大量の水を流すことをいう。
ダムの下流では浸水被害の危険が高まることから緊急時の「最終手段」とされている。

【福島・南相馬市の「高の倉ダム」では2019年10月に2回行われた】
「高の倉ダム」は農業用に作られた「利水」ダムのため、
三春ダムのような洪水を防ぐことを想定した設備にはなっていない。
取材を進めると「緊急放流」に対する住民の不信感や「利水ダム」の運用の難しさが見えてきた。

10月25日の大雨で貯水量が急増した南相馬市「高の倉ダム」。
ダムの決壊を防ぐため、台風19号に続いて2回目の「緊急放流」を行った。
いずれも下流の河川が氾濫した。

高倉地区ではおよそ70世帯のうち10世帯が床上浸水の被害にあい、
「高の倉ダム」の対応に疑問を感じている。

ダムの貯水量を事前に下げておくことはできなかったのか?

南相馬市経済部末永孝雄さん:「あくまでも利水ダムなので、そういった洪水調整のダムではない。
構造的にもそういった調整ができるダムじゃないんで、事前の調整が難しいダムになります」

県が定めたルールで「常に満水」が求められていることも貯水量を調整できなかった理由だという。

さらに住民が不信感を募らせているのが情報周知の遅れ。
ダムから数百メートルの住宅はとくに被害が大きく、目の前の橋は流され
いまだ復旧の見込みは立っていない。
小野さん夫妻は間一髪避難して無事だったが、
「緊急放流」を知ったのは開始から1時間以上経ってから。
緊急時のダムの対応が万全にならない限り、住民の不安は尽きない。

2019.10.30

台風19号
『家族や私が決めておく避難の「基準」 避難の「時間」 避難の「場所」』 

福島県内に甚大な被害をもたらした台風19号について
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さんと考える。

【河川氾濫は堤防から水があふれる「越水」と堤防が壊れる「決壊」の2つ】
福島県の中通りでは30ヵ所で堤防が決壊し、その全てが支流を含めた阿武隈川で起きた。

<決壊と越水で被害はどう変わる?松尾一郎さんの解説>
いずれも河川の氾濫。氾濫の形態として...
川の水が堤防を越え住宅地にあふれるのが越水。
決壊は、越水から始まって堤防が壊れ始め住宅地へ一挙に流れてくる。
状況によっては津波よりエネルギーがあり、大きな河川で決壊があると住宅が流されるという事例は多い。

堤防近くにお住いの方は水位が上がる前に避難することが重要。
最近のハザードマップでは家屋倒壊氾濫想定というのが表示されているので確認を。

【台風19号によって地区全体が浸水した福島県郡山市水門町】
逃げ遅れた高齢者が亡くなるなど大きな被害がでた。
大規模な浸水はなぜ引き起こされたのか。
近くを流れる阿武隈川の越水範囲は対岸にとどまり、水門町に水は流れ込まなかったとみられているが...

阿武隈川の支流「谷田川」では、水門町からおよそ1.5キロ離れた場所で高さ4メートル、幅30メートルにわたり堤防が決壊。
ここから溢れ出た水により、最大で3メートルの浸水につながったとみられている。

過去の度重なる水害を受け、「谷田川」でも改修工事が行われていたが、被害を防ぐことはできなかった。
農業・柳沼利雄さん:「谷田川は改修したし、あとは大丈夫かなと考えていたんですけど、世の中によく言う話で、"絶対大丈夫はない" と改めて感じたということですね」

【福島県を流れる阿武隈川の流域面積は千葉県を上回る5400平方キロに上り、多くの支流を抱える】
<その支流の「谷田川」の決壊はどのように考えればいい?松尾一郎さんに聞く>
雨の降り方が同じだとすると小さい川には水が集約され溢れていく。
それが集まっていき大きな川(本流)が危険な水位になる。
大きな川に流れ込む支流は、バックウォーターで氾濫したり、内水氾濫の常襲地帯であることがある。
住いの近くにある支流が、氾濫する限界降雨量を知っておけば、命を守ることに繋がる。この限界降雨量は、県の土木事務所に聞けば教えてもらえる。

【国が整備した支流などの水位をリアルタイムで見られるサイト】
<台風19号の際に一時的に使えなくなり、今後の運用に課題...松尾一郎さんに聞く>
知り合いの市町村長に聞いても災害対応するにあたり、
今回このサイトが見られなかったことが一番の痛手だったと話していた。
これは「命を守る情報」。私たちの税金で整備したもので、あまねく国民へ知らせる努力が必要。

2019.10.23

台風19号
『本流の水位上昇が支流の決壊に "決壊連鎖" 命を守る早めの行動』

東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと台風19号の被害「決壊連鎖」について考える。

【中通りの堤防の決壊は支流を含めた阿武隈川で全て発生。その数は30カ所にのぼる】
<「防災マイスター」松尾一郎さんに聞く!>
台風19号で氾濫した国が管理する主な河川を見てみる。
福島県から宮城県を流れる阿武隈川には代表的な観測所が12カ所。
氾濫危険水位を超えた観測所は10カ所。
上流から下流まで水位が高い状況にあったのが阿武隈川であり非常に危険性が高かったことが見て取れる。
阿武隈川の本流の水位が高く支流が流れていかない。
どんどん下流からせき上げしていって水が溜まって結果的に堤防決壊に至った。
支流が決壊するのは過去の災害をみてみても多い。

【本宮市では、阿武隈川の氾濫だけでなく支流の安達太良川の堤防が決壊】
33年前の集中豪雨「8.5水害」を上回るおよそ1400世帯が浸水したとみられている。
高齢者をはじめ7人が犠牲となり、多くの住民が屋根の上で救助を待つ事態になった。
被災した住民が共通して振り返るのは浸水の早さ。
地区で策定した「防災マニュアル」にも安達太良川の決壊は想定されていなかった。
住民は「安達太良川の決壊はちょっと私らは考えられなかったですね」と話す。

【バックウォーターへの備え「防災マイスター」松尾一郎さんに聞く!】
去年の西日本豪雨でも岡山県倉敷市真備町で支流から決壊した。
まさにバックウォーター。災害の場合はよく起こりうる。
・国、県、河川管理者は支流でも溢れない・壊れない堤防を目指す
・支流であっても水位がどういう状況か地域に伝える仕組みを作る
さらに住民は...ハザードマップなどで氾濫した場合の浸水範囲を知っておく。
大きな川の水位が高いときは早めに逃げる! 知る努力と早めの行動が重要なこと。

今回の台風19号では国が管理している大きな河川だけでなく県が管理する河川でも被災している。
近年、雨の降り方が変わってきていてこのような災害は今後続く。備えを急ぐ必要がある。

2019.10. 2

10月のテーマは「地域防災」
『今は防災情報の洪水時代 見方が分かると生きる情報 情報難民にならない 日ごろの努力』

東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと「新しい水位計・危機管理型水位計」について話をする。

【地域の防災力向上に欠かせないのが "情報"】
自分たちが住むエリアに潜む危険を事前に把握し、どの程度危険が迫っているか判断するための情報を得ること。
2018年度まで福島県が管理する河川の監視体制は少し心細いものだった。

491ある河川のうち常に水位を観測していたのは83河川・17%に留まっていて、
多くの河川は水位の変化に気付きにくい状況だった。

<なぜこのような状況だったのか?松尾氏に聞く>
2017年の九州北部豪雨や2018年の西日本豪雨で中小の河川が氾濫して多くの方が犠牲に。
そのため国や県は簡易な水位計を多く設置し情報を伝えるなどの対策に乗り出している。


【監視体制が心細いものだった福島県。今年度水位計の設置が進められている】

2019年9月、福島県内に暴風雨をもたらした台風15号。
いわき市や福島市では、一部の河川で氾濫の危険が高まり、
流域の住民に県内で初めて「レベル4」に該当する「全員避難」が呼びかけられた。

この時、いち早く水位の上昇を把握していたのが新しいタイプの水位計だった。

福島河川国道事務所 古賀博久調査第一課長
「電波を発信すると、その跳ね返りで水位がわかる仕組みとなっている」

<2019年の春から本格的な運用が始まった「危機管理型水位計」>
水位が上昇した時にだけ水の高さを計測する。
現場に行かなくとも水位が分かるようになっていて
スマートフォンなどでリアルタイムの水位が分かるようになっている。
平常時は「青色」だが、危険水位を超えると「赤色」に変化するため
どこの河川に危険が迫っているのか一目で分かる。

<福島市の濁川が9月の台風15号で危険水位に達した当時の水位の記録>
午前8時頃に水位が上昇し始め、
約6時間後には堤防の高さにあと1メートルまで水が迫っていた。
この水位計は県内の約350ヵ所に設置が完了していて、
河川を監視する水位計の数は以前の3倍に増加した。

福島河川国道事務所 古賀博久調査第一課長
「台風15号の際には常時観測の水位計に加えて、
危機管理型水位計も稼働したので、普段であれば遠いところの水位しかわからなかったところが、
皆様の自宅に近いところの水位もわかるようになった。そうすると、より身近に切迫感が伝わるので」

<国は2020年度までに水位計を全国8700ヵ所に整備>
きめ細かく情報を提供し、住民の避難や命を守る行動に結び付けることを目指している。

国土交通省河川情報企画室 平山大輔室長
「河川の情報を発信するベースが、これで大体揃ってくるので、
あとはこの情報をしっかりと住民の皆さんの避難行動に結びつけていくことを、
今後は利用してもらえるような形で浸透させていきたいなと思っています」


【「危機管理型水位計」は現在、福島県が管理する214の河川に整備】

福島県の担当者は「人口が集中する場所はある程度カバーできた」としていて、
その上で、自治体の要望を聞きながらさらに数を増やすことを検討している。

<なぜ、ここまで整備が急激に進んだのか? 松尾氏に聞く>
設置コストの安さ。常時観測型の水位計の10分の1以下に当たる100万円程度で設置できる。
課題は誰にでもわかる情報にしなくてはいけないということ。


【「川の防災情報」で検索】

この危機管理型水位計のデータは国土交通省が運営する「川の防災情報」のホームページで公開
「川の水位情報」をクリックすると全国各地のデータが確認できる。

2019.9.25

9月のテーマは「地震」
『どこでも起こる地震 命を守る家具固定 日ごろの備えは、家族の安心!』

東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと防災について考える。

【地震は「いつ」起こるか正確に分からない】
そのため国は「長期評価」と呼ばれる30年以内の発生確率を予測している。
福島県内の主な活断層は3つ。「ほぼ0%から0.02%」と低く予測される。
一方、海側のプレートに引っ張られた陸側のプレートが跳ね返り発生する
海溝型の地震は最大で「90%程度」と高くなっている。

【この違いはいったい何なのか?国の担当者に聞いた】
文部科学省地震・防災研究課水藤尚企画官
「一番大きいのは平均活動間隔ですね。繰り返し間隔が大きく違うという点です海溝型ですと、大体大雑把に言って100年程度の活動間隔なんですけど、それに対して内陸の活断層は千年とか1万年と、一桁、二桁違う大きさなのが一番の要因だと思います」

<「確率」をどのように受け止めればいい?>
三陸沖の海側で起きる地震は間隔が短く20年~50年サイクル。
文部科学省の確率評価というのは「30年にどのぐらいの割合でおこるのか?」ということを言っているので海溝型というのは高い確率で出る。
内陸地震は3000年とか1万年に1回ぐらいのペースで起きる。30年で見るとゼロに等しい。
熊本地震は0%であれだけの地震が起きた。
あす起こってもおかしくないという意識と日ごろから対策を進めることが重要。

【画期的な防災用品の製造に乗り出した福島県内の企業】
福島県須賀川市の神田産業。
大小さまざまなおよそ80種類の段ボールを1日6万枚製造している。
これまでの技術とノウハウを活かし製品化に成功したのが「救急救命室」。
使われているのはハチの巣のような形状をしたその名も "ハニカム段ボール"。
これを内部に敷き詰めることで30トンの重さにも耐えられる。
耐久性に優れ、組み立ては軽量のパネルをスライドさせるだけ。
大人3人が15分ほどで組み立てることができ、特別な工具は必要ない。

神田産業 神田雅彦社長:
「組み立て後除菌ができてとても衛生的だということで。
避難所に設置する診察室、処置室などに使われています」

世界でも類を見ない製品に挑戦する根底には東日本大震災の記憶がある。

神田産業 神田雅彦社長:
「その当時病院にいけない方とかもたくさんいたので
避難所で応急的な措置だとかあるいはお医者さんが行って診察をしたりだとか。
そういうことは必要だなと思っておりましたので」

その教訓が生きたのが3年前の熊本地震。
避難生活が長引いた熊本県の避難所に設置され診察室や女性の授乳室として活用された。
さらに2018年の西日本豪雨や、ドイツでの災害訓練など活躍の場を広げている。

神田産業 神田雅彦社長:
「災害の際に世の中に使っていただいて、恩返しではないですけれども
使っていただけるのが我々の使命かなと思いました」

震災の教訓から生まれた福島発の製品が国内外の避難所で多くの人を支えている。

【さらに、地震をはじめとした災害で備えたいのが停電対策】
<乾電池がいらない新しいライトとは?>
横浜市の横浜赤レンガ倉庫で開かれた「防災フェア」。
数多くの防災グッズが展示・販売される中で、注目を集めていたのが水に付けると化学反応で光るライト。

ペガソス・エレクトラ商品開発部 七理義明部長
「私自身が高校一年生の時に、阪神大震災を神戸市で被災しまして。
真っ暗な中人があかりの中に集まっていったんです。それで あかりって大事だなと」

<胆振東部地震でも実際に使われた化学反応で光るライトとは?>
スプーン2杯くらいの水に浸すことで72時間点灯し続けられる。
価格は1500円。
懐中電灯の場合は電池が必要。ロウソクの場合は火が必要。
このライトであれば火も電池も使わずあかりを灯すことができる。

2019.9.18

9月のテーマは「地震」
『活断層!地球の営みの古傷 歴史を知って 我が身を守る』

東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと防災について考える。

【福島県にも3つの活断層】
1995年に起きた阪神淡路大震災を機に、福島県では主要な3つの活断層を調査している。
「会津盆地西縁断層帯」「福島盆地西縁断層帯」「双葉断層」
いずれもマグニチュード7を超える地震が想定され、活動の周期は3800年から1万年に1回とされている。
記録が残る直近の被害は、会津盆地西縁断層帯が震源地となった
1611年の会津地震で、この時は3700人が犠牲となった。

<活断層とどのように向き合えば良い?>
活断層はあらかじめ存在が分かっているが
最近起きた地震、内陸地震も含め活断層で起こった地震は熊本地震だけ。
多くは2018年に大阪で震度6弱を観測した「大阪北部地震」
北海道を震度7が襲った「胆振東部地震」は存在が知られていない『未知の断層』で起こった。
日本で住んでいる限りどこで地震が起こるかわからない。
日頃から揺れから身を守るためにどうすればよいのか考えておくことが重要。

<「未知の断層」で犠牲者を出した地震は、東日本大震災の1か月後にいわき市でも>
2011年4月11日。
福島県いわき市田人地区をマグニチュード7.0の地震が襲った。
大規模な土砂崩れが起き、住宅がのみ込まれるなどして4人が犠牲に。
この地震を引き起こしたのが「井戸沢断層」。

田人地区振興協議会下山田誠さん:「2メートルの段差が生じた場所になります。
ちょうどこのあたりで西側が2メートル下がる形で井戸沢断層が現れたんですけど」

全長14キロにわたって地表にあらわれた井戸沢断層。
通常は陸側に押し込まれている「プレート」が震災によって海側に大きく跳ね上がり、
その反動で生じた海側に引っ張られる力に耐えきれず、動いたと考えられている。
断層の近くに住む斉藤富士代さんは当時の特徴的な縦揺れを鮮明に覚えている。

斉藤富士代さん:「ドッスン。一度だと思った気がするんだけど、みんな裸足で出てきた。
それから、ずっとドスンドスンというのは、鳴りぱなしくらいに、秒刻みくらいに続いていた」

震災から8年半、復旧・復興工事が進み「井戸沢断層」の痕跡はほとんど姿を消した。
そこでいわき市は約200メートルを「天然記念物」に指定し、
地震の記憶と教訓を後世に伝える取り組みを進めている。

その場所に案内してもらうと...
田人地区振興協議会下山田誠さん:「(当時のままですか?)そうですね、
ここの土が風化で落ちてきてますけど、崖自体はそのまま残っています」

2m以上の段差がいまもはっきりと残る貴重な場所。
その後の調査で1万2500年から1万7000年前にも地震が起きていたことがわかった。

田人地区振興協議会下山田誠さん:「地域で伝えていくだけじゃなくて、やはり防災という観点からも伝えていく非常に重要なものだと思います。
活断層の地震は本当に知られていない場所でも起こったりするので、
そういった意味で自分の所で起こるかもしれないという気持ちは持っていた方が良いと思います」

<井戸沢断層は1万2500年以上前にも地震が起きていた>
多くの地震は逆断層。井戸沢断層は非常に珍しい引っ張られて起きた地震。
この地震のあと研究者が現地で調査。
断層の真上にあった家は78%が全壊。
このデータからやはり断層の上には家は建てられないと言える。

<今後も活断層型の地震が起こる可能性はあるのか?>
福島県内の主要な活断層で今後30年以内にマグニチュード7以上の地震が発生する確率は
福島盆地西縁断層帯と双葉断層は、ほぼ0%、
会津盆地西縁・東縁断層帯はほぼ0から0.02%

福島の内陸地震は3000年とか1万年のサイクルで起きている。
それを「30年」で見たときほとんど起こらないという確立になる。
大きな被害が出た熊本地震は、最大で0.9%であった。しかし300人近くの人が亡くなった。
その確率を私たちはどう見ればいいのか、それをどう防災につなげていけばいいのか?
次回は、みなさんと読み方を考えてみたい。

2019.9.11

台風15号 長引く停電と県内初のレベル4
『予告なき災害 用意周到 臨機応変』

東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと防災について考える。

【まずは2019年9月10日大きな被害をもたらした台風15号を検証】
千葉県では鉄塔や電柱が倒壊し大規模な停電が発生。
断水や厳しい暑さも続き生活に大きな影響がでている。
停電が起きたのは強風により鉄塔が倒れたり電線が切れたことによる。
北海道胆振東部地震で発生した停電は発電所が停止したため。
これを人間の体・血管で例えると心臓が止まったたと言える。
今回の鉄塔が倒れたり電線が切れたりしたのは毛細血管が切れたと例えられる。
この毛細血管を修復するのは時間がかかる。だから復旧に時間がかかっている。

<福島県内の病院での停電対策はどこまで進んでいる?>
須賀川市の池田記念病院。
停電に備えて設置されているのが非常用の自家発電装置。
1台で2日間くらいは病院全体の電源をまかなうことができ、
発電装置は1度の給油で5日から1週間医療活動を維持できる電気を供給でる。
この病院では毎日の手術に加えて24時間稼働が必要な医療機器も多く
患者の命に関わる停電対策に万全を期している。
このほか入院患者や職員などが災害時に困らないよう飲料や医療行為に使える
約5日分の水も貯水槽に蓄えている。
また米や缶詰など様々な食料品も保管。3日から4日の食事を賄うことができる。

<自家発電装置がある県内の病院>
・福島県立医科大学附属病院 ・南相馬市立総合病院 ・白河厚生総合病院
・福島赤十字病院 ・いわき市医療センター ・県立南会津病院
・会津中央病院 ・竹田綜合病院 ・太田西ノ内病院 ・大原綜合病院
災害拠点病院だと3日間から9日間は停電に対応できる。

全部の病院が設備が整っているとは限らないので家族や自身が入院の際に確認することも重要。

<福島県では初のレベル4「全員避難」 避難の方法にも課題>
台風15号が千葉県に上陸したおよそ3時間後...
暴風域が近づいたいわき市では、県内で初めて高齢者などに避難を呼びかける「レベル3」を発令。
福島市も午前10時に「レベル3」を発令し、避難所を開設して台風の最接近に備えた。
しかし、わずか30分後。
一部の河川で氾濫の危険性が高まったことから、
流域の住民を対象に「全員避難」を呼びかける「レベル4」に引き上げた。
この場所では約1時間後、雨水の処理が追い付かなくなる「内水氾濫」が発生。

台風が最接近した昼前にはいわき市でも好間川流域の住民が「レベル4」の対象となり、
近くの保育園の園児たちも避難所で身の安全を確保した。
自宅で命を守る行動を取った人も...
「小学校に避難したって、家と高さが同じ位だから自宅の2階に」と垂直避難を選んだ。

いわき市と福島市のあわせて5万5000人が避難の対象となったが、
午後7時前にはすべて解除され、ケガ人などはいなかった。

<5段階の大雨警戒レベル 効果と課題>
切迫度に応じてレベルで示すことで早めの避難につなげるのが導入の大きな狙い。
「レベル3」は【高齢者避難】。「レベル4」は【全員避難】ということを明確に伝えられたのは一つの効果。
ただし初めて使われたレベル情報で促進につながったのか?改善すべきことはないか?
常に振り返りを欠かさないことが大切。
避難所に保育園児が避難していたが前日の夜には「暴風警報」発令。
この時点で小中学校同様に休園措置をとってもよかったのでは?
その場合、保護者が務めている場合勤務先や地域の関係者が一緒になって議論していくことも重要。
命を守るため「みんなが動く」「みんなが考える」社会を。

<警戒レベル 内閣府の担当者も改善の必要性を認める>
〔内閣府風水害対策調整官菅良一さん〕
「分かりやすくなった一方で、それが実際に避難行動に移っているのかをというと、
必ずしもそうではないという話も聞いていて、そういう意味ではどういう風に皆さんに避難して頂くのか。
もう少し一方踏み込んだ形で我々も検討していかないといけないと思っています」

2019.9. 4

9月のテーマは「地震」
『地震は突発災害 大きな揺れ・停電 命を守る日頃の備え』

東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと話をする。

【北海道で初めて最大震度7を観測し40人超の犠牲者が出た北海道胆振東部地震の発生から1年】
松尾さんは地震発生の翌日には厚真町へ。
被災した方にお話を伺うと
「夜の地震、初めて経験する震度7の揺れで起き上がることができなかった」
「揺れから数分で停電して真っ暗になった」という声が。

<この地震で大きな混乱をもたらしたのが「ブラックアウト」>
地震の影響で火力発電所が緊急停止したために、電力の供給が需要に追い付かず、
大規模な停電が起きた。最長で約2日間に渡り続いた停電。
情報を得るには欠かせないスマートフォンを充電しようと長い列もできた。

<大きな地震が起きると思っていなかった人は76%>
「再び大きな地震が起こると思いますか?」との問いには、84%が「思っている」と回答。
北海道胆振東部地震後に大きな意識の変化があったことが分かる。
「災害は必ず起こる」との考えに基づき、備えを進めることの大切さが浮き彫りになったと言える。

<震源から遠く離れた場所でも深刻な被害 札幌市で発生した大規模な「液状化」>
地震は地殻の大きな動き。地盤災害が顕著にあらわれる。
いわき市でも8年前の東日本大震災の時に液状化が発生。
その数は1000件を越え、いわき市の中学校では地中に埋まっていた浄化槽が地上に浮き上がってきた。
液状化は振動によって地中のバランスが崩れ水が地上に押し出されることで、その分地盤が沈下する。

<福島県内でも液状化が起きやすいエリアが>
県が公表している福島県内の液状化危険分布。
福島県沖地震では沿岸部を中心に液状化が予測される。
内陸・会津盆地西縁断層帯での地震では会津周辺に加え、相馬市でも液状化が起きると予測される。
震源から離れていても揺れやすい土地では液状化が起こると考えられる。
こういった危険性を知ることができるデータは行政機関で公表している。
福島県は2021年度末までに「液状化危険度分布」を更新する計画で、改めて自分の住む地域はどのような場所かを確認することが大切になる。

2019.8.28

8月のテーマは「台風」
『局地豪雨!道路冠水!くるま利用 無理をせず』

東京大学大学院客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと話をする。

【九州北部の記録的大雨から私たちは何を学べるのか?】
今回の豪雨は台風11号が崩れてもたらしたもの。
被害にあった方に共通するのは「車での避難・移動」が多かったように感じる。

<冠水している中での車での移動の危険は?>
JAFの実験では水深60センチで動けなくなることがわかっている。
車の内部に水が入ると電気系統がショートしエンジンそのものも壊れてしまう。
水圧でドアが開きにくく、閉じ込められる恐れもある。
とくにスライドドアは脱出が難しいとされている。
閉じ込められた場合、窓ガラスを割る脱出用のハンマーを用意しておくと役立つ。

<道路が冠水するなか歩いて職場へと向かう姿も...>
個人で判断するのは難しいので会社でどうするべきか決めておくべき。
地震の場合は防災計画を作っている事例は多いが水害に関しては少ない。
警報が発表されたら無理に出社しないルールがあってもよいのでは?

<県内でも過去に台風での大きな水害が発生。郡山市はその後...>
3D動画で浸水状況を可視化
【検索】郡山市 3次元ハザードマップ
台風15号による浸水被害を3D動画で再現。
いつから浸水が始まりピーク時にはどの程度の深さなのか、
水が引き始めるまでの状況がわかる。
その後「ゲリラ豪雨」を想定した3Dハザードマップも作成され、
住民の避難に役立てる。

<周囲が水に浸かった場合外に出て避難するのは危険 避難はどうあるべき?>
夜中・早朝など暗い時間帯に浸水しているところを避難するのは危険。
明るいうちに避難するといっても、そもそも避難できる状態にあるのか判断するのが重要。
避難する=逃げることではない。避難は命を守る行動をとること。

2019.8.21

8月のテーマは「台風」
『次への備えのためいかなる機関も個人も災害後は「ふりかえり」を』

東京大学大学院客員教授で防災行動や危機管理の専門家
「防災マイスター」の松尾一郎さんと
西日本に大雨を降らせた「台風10号」について話をする。

8月15日に西日本に上陸した台風10号。
事前の予報では1000ミリ超の雨が降るといわれていた。
今回は予報より少ない雨量だったがそれでも900ミリの地域も。
幸い雨に強い地域であったため大きな被害とはならなかった。
しかし台風から離れた地域も高波・強風など注意が必要。

松尾さんは、台風の接近に備えて
「いつ」「誰が」「何をするのか」を予め決めておく
事前の防災行動計画「タイムライン」を提唱。

自治体が予め作っておくことも大切だが
家族で取るべき行動を確認しあう『コミュニティタイムライン』も重要。
家族の役割を予め決めておくことで防災意識を高めることができる。

被害のリスクが高まる台風が最接近した時には
避難が完了していることが大切。

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