2021.2.10
東日本大震災で決壊8人が犠牲に「藤沼湖」記録誌と慰霊碑で教訓を伝える地域の取り組み
農業に使う水を溜める「ため池」
東日本大震災では県内約4000ヵ所のうち320ヵ所が被災
須賀川市の「藤沼湖」は8人が犠牲になるなど、甚大な被害を受けた。
同じ被害を繰り返さないため、記録誌と慰霊碑で後世に教訓を伝える取り組みが始まっている。
2021.1.27
東日本大震災から10年 教訓をこれからの防災に
乗客40人の命を守った新人警察官のいま
東日本大震災による福島県内の死者は4000人を超え、このうちの6割は震災関連死。
原発事故により、未だに3万6千人が避難を余儀なくされている。
また、住民の命を守るために犠牲となった尊い命も忘れてはいけない。
被災3県の消防団員の殉職者は254人・消防職員は27人が犠牲に。
福島県では警察官5人が犠牲、または行方不明になっている。
警察学校の卒業式を終え、配属先に向かうJR常磐線で地震が起きた新人警察官。
咄嗟の気転で乗客を避難誘導し命を守ったあの日から10年。
当時抱いた思いや経験を「教訓」として後輩に積極的に伝えている。
2021.1.13
大規模な浸水被害を防ぐため注目 『グリーンインフラ』
「グリーンインフラ」とは、堤防を始めとした人工の構造物だけに頼るのではなく、
自然環境が持つ力を防災や減災に活用する新たな考え方。
例えば、京都では、洪水対策として雨水を溜めたり、浸透させたりする機能を持った植樹帯を整備。
また、県内の沿岸部でも震災の教訓から津波から命を守る海岸防災林を植樹するなど
各地でグリーンインフラの取り組みが進んでいる。
2019年の東日本台風により、大きな被害を受けた阿武隈川の流域でも取り入れていく方針が盛り込まれている。
特に郡山市が検討しているのが治水の面です。
治水とは、大雨の際に上流から流れてくる水を一時的に貯めこみ下流に流れる量を調整し洪水を防ぐというものだが、これを身近な田んぼを使って対策する動きがある。
郡山市は今後も検討を進め、早ければ2022年春から本格的な運用に乗り出す計画。
2020.12.25
2010年国道49号での立ち往生
同じ轍を踏まないため24時間監視と位置情報システムで体制強化
年間の降雪が460センチに上る、福島県県内有数の豪雪地帯に位置する会津坂下町から西会津町。
ここを通る国道49号線・32キロの除雪を担っているのが『西会津防災除雪ステーション』
この区間は、2010年12月。24時間の降雪量が、観測史上最大の138センチに上り、
約300台の車が立ち往生した。
同じ轍を踏まないために、導入された『監視カメラ』と『除雪車の位置情報のシステム』
道路管理者の雪道への備えが迅速な対応へつながる。
2020.12.11
火事から身を守るため...火災警報器
きちんと付けていますか?
空気が乾燥する季節は特に火事への注意が必要だが
地震などがきっかけとなり火事が発生することは決して珍しくない。
火災警報器は、2011年6月から全ての住宅で設置が義務化されているが、
要件を満たしている福島県内の割合は58.2%と全国で7番目の低さだ。
福島市の消防団は、各家庭を訪問し住民に代わり取り付ける作業を行っている。
地域の防災は住民同士で...コミュニティ防災の取り組みを紹介。
2020.11.11
避難所や災害対策の拠点に? 道の駅の新たな役割
いつ訪れるか分からない災害の際に欠かせないのが私たちの安心・安全を守る「防災拠点」
◇多くの人が避難できる庁舎や学校の体育館など身近な公共施設
◇地震の被害を減らすため免震構造を採用した施設
◇停電を回避するために非常用発電設備を備えた施設
などがあげられる。
こうした施設は避難者を受け入れるだけでなく、十分な食料や毛布などを備蓄しておくことや
役場が被災した際には、予備の災害対策本部の拠点となるなどの役割も求められる。
その機能を「道の駅」に持たせる動きが進んでいる。
2020.10.21
大規模な浸水被害を防ぐ遊水地とは
記録的な雨量となった2019年の東日本台風では、
支流を含んだ阿武隈川の堤防が31カ所も決壊し、大規模な浸水被害につながった。
このような被害を繰り返さないために、国が整備を目指すのが『遊水地』
<遊水地とは...>
普段は公園やテニスコートなどとして使用。
大雨の際、低くしておいた堤防から、わざと水をあふれさせ遊水地に一時的に溜めることで、
下流に流れる量を減らす治水対策の1つ。
国は新たに、阿武隈川の上流部に位置する、福島県の玉川村・鏡石町・矢吹町の3町村に
2028年度までに、それぞれ1カ所ずつ整備を目指している。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」松尾一郎さんも
比較的短い時間で設置できるので効果のある対策と話す『遊水地』
整備には河川沿いに広い土地が必要となり、そのためには地元・地権者の理解が必要。
宝の土地を失っても...遊水地整備に尽力した地権者の思いを取材。
2020.10. 7
過去の台風被害から学ぶこと..."早めの避難" がみんなの命を守る
『令和元年東日本台風』では阿武隈川やその支流の氾濫などにより福島県郡山市の広範囲が浸水。
逃げ遅れるなどして6人が犠牲になった。
郡山消防本部で自らも対応にあたった通信指令課・鈴木哲則さんは
「昨年の台風当日は、全ての車両が出ているような状態でした。私の経験上でも一番ひどい災害の分類に入る」と話す。
寄せられた通報件数は2日間で1273件に上った。これは通常の10倍近い件数。
「助けに行きたくても行けない」そんな状況がうまれていた
防災のプロ・東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」松尾一郎さんは
『救助する側も命がけであるということを私たちも考えなくてはいけない。
私たちも早めに逃げれば消防団・消防も "救護被災" に遭わなくて済む。
助けようと思って消防の方が命を落とされる例もあるので、それをなくすことが重要。
そのために私たちは "早めに逃げる" これしかない」と指摘する。
2020.9. 9
避難について考える
過去の被災経験を活かし進む地域住民の取り組みと自治体の取り組み
住民の命を守るため...過去に甚大な被害を受けた自治体では
住民・行政それぞれが避難について考え準備を進めていた。
2011年7月に起きた新潟・福島豪雨で被害を受けた只見町
2019年台風19号で8人が亡くなったいわき市
逃げ遅れをなくすための取り組みを紹介。
【東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」松尾一郎さん】
こういった地域の取り組みが広まっていかないと命は守れないと思います。
最近、雨の降り方が極端になっている。只見町のように先を見越して動き出しを早くしないと間に合わないと思います。
いわき市が行っている防災ラジオの無償貸し出し。情報を入手するためにはこういうものは重要です。
防災ラジオのみならずテレビであったり携帯電話とか日ごろから防災情報を入手する手段というのは多数あった方がいいと私は思います。
2020.7.29
住民の命を守るため 避難の "きっかけ" つくりは行政情報と共助
2020年7月28日。梅雨前線の影響で福島県に大雨が。
各自治体早めの避難所開設など防災行動をとっていた。
また地域住民が地区の高齢者に避難を呼びかけたり、川の見回りなど自主防災の動きも。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」松尾一郎さんは
「災害というのは日常ではない。地域の危険性や逃げ方は1人で考えるのは難しい。
避難の "きっかけ" というのは行政の避難情報なのですが、地域や自治会の呼びかけによるところも大きい。
地域が共同して避難ルールを考えるのはとても重要なことだと思います」と話す。
2020.6.17
情報弱者の命を守るためにできること
避難するタイミングを分かりやすくするため導入された「5段階の警戒レベル」
2020年により分かりやすく変更された。
また氾濫予想や水位情報を伝えるサイトも運用がはじまり情報を得やすくなったが、
高齢者や日本語が分からない海外の人などいわゆる情報弱者はどうすればいいのか...
被災経験から住民同士の共助の重要性を防災にいかすいわき市下平窪地区を紹介。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」松尾一郎さんとともに考える。
2020.6. 3
大雨今年はどうなる?
梅雨から大雨被害に警戒をしなくてはいけない時期に入る。
今年は大雨との見解もあり、災害に備え私たちは何をしなくてはいけないのか
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」松尾一郎さんとともに考える。
台風19号と、その後の大雨の教訓をいかそうと被災者の行動について福島県がアンケート調査では
身近に危険が迫ってからの避難を始めた人が多いことが分かった。
同じ台風19号では長野県千曲川周辺の住民がいつ避難したかを示すデータを見ても
雨が降っていて河川の水位が上がってきている危険な状態で避難していたことがわかる。
この直前に自治体からの避難勧告が出たということもあり、早めの呼びかけが重要だということが言える。
また、1月~4月に全国に出された「記録的短時間大雨情報」の回数をみても
2020年は飛びぬけて発表が多い。
今年は特に注意が必要。
2020.5.27
感染症対応型の避難とは
これから洪水などが起きやすい取水期となり
新型コロナウイルスへの感染が心配される中での避難行動についても考えなければならない。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」松尾一郎さんとともに考える。
松尾一郎さんが策定した、地方自治体に向け避難行動「マニュアル」
<そのマニュアルに盛り込まれたのが「分散避難」という考え方>
これまでの避難は自宅から避難所が一般的で、「3密」になりがちだった。
一方、マニュアルでは...
◇土砂災害の警戒区域から外れている場合など自宅が安全な場合は「動かない避難」として「在宅避難」も有力
◇車などを利用した「青空避難」
◇親戚や知人の家に身を寄せる「縁故避難」
2020.5.13
新型コロナウイスは避難行動にも影響
新型コロナウイルスは自然災害発生時の避難行動へも影響を及ぼしていた。
3密となりやすい避難所の環境を整えるには?...段ボールが救世主に!?
逃げる避難・逃げない避難はどう判断すればいい?
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」松尾一郎さんと
ともに考える。
【防災マイスター:松尾一郎さん】
「逃げる逃げないは『そもそも自宅が安全か』ということ。
ハザードマップを見たうえで浸水するかしないか...
浸水しないなら自宅でより高いところ・2階に避難するという方法もある。土砂災害も含めて。
地震に関していうと、倒れてくるものがないこと。家具の固定を徹底してほしい。
これはすぐにでもできることだと思います」
2020.4.22
有識者会議の試算...福島県を襲う大津波
巨大地震をいち早く知らせる『緊急地震速報』の課題と仕組み
2020年4月21日に国の有識者会議がまとめた津波の試算が公表された。
岩手県沖や北海道沖を震源とする巨大地震が発生した場合、福島県南相馬市を19メートルの津波が襲うとしている。
巨大地震をいち早く知らせ、私たちに身を守るための時間を短くとも与えてくれるのが「緊急地震速報」
2007年に運用が開始され日々改良が重ねられている。
その仕組みと課題を取材した。
2020.4.15
新型コロナウイルスと災害
「台風19号から半年...被災者に追い打ちをかける新型コロナウイルス」
「感染拡大...この状況で災害が発生したら!?」
台風19号で被災し、生活再建を目指し商店の営業を再開したところに
新型コロナウイルスでの売り上げの減少...といったように、
被災地の復興にも新型コロナウイルスが暗い影を落としている。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」松尾一郎さんは
緊急事態宣言が出された千葉県で生活している。今、感じることとは?
【防災マイスター 松尾一郎さんからの提言】
「新型コロナウイルス感染症は国難災害だと思う。
亡くなった方は全国で180人近く、これは台風19号の犠牲者を超えている。
見えないリスクによる災害なんです。
これまでとは異なる...そういう意味で政府や知事が言うように
『3密を避ける』『外出を抑制する』などを守ればなんとか鎮静化に向かうと思う。
マスクの効用についての意見はあるが、マスクをつけることで感染予防への意識付けにつながる。
私たちができることを1つ1つやるしかない。
今災害が起き、被災した場合、自宅や知人宅などの在宅避難という形もあると思う。
その場合は、家が浸水や倒壊などのリスクがない事。
水や食料の備蓄、家具の固定など日ごろから各家庭で災害対策をしておくことが必要。
《自宅をシェルターに!》《自宅を災害に強くする!》これが大事です」
2020.4. 8
1611年・会津地震から学ぶこと
「圓藏寺再建の立役者 "赤べこ" ウイルス除けのご利益も!?」
会津地方に大きな被害をもたらした1611年の会津地震。
現代にもつながる「文化」を作った側面があるという。
東京大学客員教授で防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」松尾一郎さんが
地震との関係に迫った。
《会津若松市の郷土史研究家・石田明夫さんに案内してもらい松尾さんが向かったのは...》
柳津町の福満虚空藏菩薩圓藏寺
会津地震では崖が崩れるなどの甚大な被害を受け、存続の危機に直面した。
その時に、圓藏寺の再建に力を尽くしたと伝えられているのが...『赤べこ』
さらに「赤べこ」に描かれたこの黒いマークには、かつて会津で大流行した「天然痘」とのつながりがあった。
赤べこを持っていた人が子どもが感染しないようの願懸けとして黒いマークを...
その子どもはり患しなかったという。
郷土史研究家・石田明夫さん曰く「ウイルス除けに御利益がある、赤べこは」
2020.4. 1
1611年会津地震から学ぶこと
「鶴ヶ城も傾くほどの被害...川がせき止められ湖も出現」
福島県は過去に何度も大きな地震に見舞われていた。
直近では東日本大震災、古くは1000年以上前に起きた貞観地震があるが
今回注目するのは1600年代。
マグニチュード6を超える地震が5つも立て続けに発生し、多くの人が命を落としている。
その中でも、特に大きな被害が発生したのが1611年の会津地震。
どのような地震だったのか、東京大学客員教授で
防災行動や危機管理の専門家・「防災マイスター」の松尾さんが現場を取材した。
2020.3.18
この1年を振り返る
「どんなにやっても 終わりがない防災 愛する人を守る」
減災・防災をテーマに様々な話題を取り上げてきた「防災大百科」
この1年の間にも全国各地で多くの災害が起きた。
なかでも2019年に相次いだのが台風・大雨の被害。
福島県内の広い範囲で観測史上最も多い200ミリ以上の
猛烈な雨を降らせた台風19号。
台風19号が残した教訓や課題は何だったのか?
東京大学客員教授で
防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さんと一緒に考える。
2020.3. 4
防災の三本柱自助・共助・公助
『復刻させよう!! 向こう三軒両隣 顔の見える防災社会』
「福島テレビ」が「環境・防災研究所」と
2019年の台風19号の後に福島県内で避難情報が出された地域の550人を対象に行ったアンケート。
【避難を考える『きっかけ』を聞いた項目では...】
行政による避難情報で避難を考えた方が最も多く、
自主防災組織などから避難を呼びかけられるなどの地域住民が助け合う「共助」は最も低い結果に。
この「共助」について東京大学客員教授で
防災行動や危機管理の専門家「防災マイスター」の松尾一郎さんと一緒に考える。
「共助」が機能し、犠牲者ゼロにつながった事例も...
【福島県伊達市梁川町の大町一丁目防災会】
「8.5水害」の教訓から「自分たちの町内は自分たちで守ろう」と
地区の全世帯で自主防災組織を結成。
2019年の台風19号の時には、伊達市が避難情報を出す前の日から
身体の不自由な高齢者などに避難を呼び掛けていた。
さらに、自主防災組織は24時間体制で水門の管理も行っていて、
危険が差し迫った場合には、住民にいち早く知らせる体制を整えていた。
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