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海外から学ぶ防災 ハリケーン「ヘリーン」高潮災害で犠牲者も フロリダ現地調査で見えた日本の課題と教訓
2024年、米フロリダ州を襲ったハリケーン「ヘリーン」。200人超の犠牲者を出した現地を防災の専門家・松尾一郎さんが視察し、日本が学ぶべき教訓を探った。
犠牲者200人超 ハリケーン「ヘリーン」
2025年4月、東京大学大学院の客員教授で防災行動や危機管理の専門家・防災マイスターの松尾一郎さんが訪れたのは、2024年9月に大型ハリケーン「ヘリーン」に襲われたアメリカ・フロリダ州。
現地メディアによると、犠牲者は200人を超え被災地にはいまだに爪痕を残している。
地元も想像していなかった大災害...地球規模で進む温暖化・気候変動に伴い、現地では次なるハリケーン被害に備えるための調査・分析が行われている。
視察した松尾さんは「2024年に米国を襲ったハリケーンで、212名が亡くなっている。特に高潮災害や洪水で被災した箇所は、我が国としても知っておくべき事」と語る。
そもそもハリケーンとは
日本には毎年のように「台風」がやってくるが、ハリケーンとの主な違いは発生場所。北西太平洋や南シナ海にあるのが「台風」、北大西洋やカリブ海、メキシコ湾などにあるのが「ハリケーン」と呼ばれる。
2005年にはアメリカ史上最大級の自然災害といわれるハリケーン「カトリーナ」で、約1800人が犠牲となった。
松尾さんが現地調査をしたハリケーン「ヘリーン」は、これに次ぐ規模と言われている。
日本では経験が少ない高潮
実際に現地を訪れ、日本の防災に活かせるポイントがあったと松尾さんはいう。「ハリケーン・ヘリーンで20人近くが高潮災害で犠牲となった。実は、我が国では大きな高潮災害は、1959年の伊勢湾台風以降、66年間経験していない。この時は東海地方で5000人が亡くなっている。だから近代都市で高潮が発生すると何が起こるか、我が国には経験がない。調査で分かったことは、高潮そのものの被害の甚大さ、高潮火災なるものが起こるなど多くの事が分かった」と松尾さんは話した。
アメリカの州政府や連邦機関の防災のトップは政治任用だが、担当レベルになると異動が少なくずっと防災担当となり、命を預かる意識が強い方が多いという。日本にも活かせれば、より強固な防災への取り組みができるのではと松尾さんは話した。