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2024年度の汚染水発生量は1日約70t 前年度比10t減少<福島第一原発>

東京電力は福島第一原子力発電所での2024年度の"汚染水"の発生量について、1日あたり約70tで、前の年度から10tほど減少したと公表した。

福島第一原発には、2011年の事故で溶け落ちた核燃料が金属などを巻き込んで冷え固まった"燃料デブリ"が存在し、これに地下水や雨水が触れることで"汚染水"が発生。ここから大部分の放射性物質を取り除いた"処理水"の海洋放出が行われている。
"汚染水"発生量が減少した背景には、遮水壁の設置や、雨水が地面にしみ込まないようにする舗装工事などの効果が続いているほか、雨の量が少なかったことの影響もあると見られている。


福島第一原発で2023年8月にはじまった処理水の海洋放出は、敷地を圧迫する約1000基のタンクを減らし、廃炉のためのスペースを開けることが大きな目的のひとつ。
これまでに通算12回の放出を実施し、合わせて約9万4000t(タンク約94基分)の処理水が薄められて海に放出された。東京電力は第一原発周辺の海域で海水のトリチウム濃度測定を実施していて、発電所から3km以内で700ベクレルを検出した場合には放出を停止することとしているが、これまでにこの指標に達したことはない。
2025月2月からは、放出によってカラになった溶接型タンクの解体も始まっていて、まずは12基を2025年度中に解体する見込みとなっている。空いたスペースには燃料デブリの取り出しに関する施設を建設する計画。東京電力は廃炉の進捗に伴い、必要な施設を建設するためのスペースを作る計画を立てながらタンクの解体を実施していきたいとしている。


一方、処理水放出に伴う経済的な損害も発生している。
東京電力によると、2025年4月末までに処理水放出に関して約720件・720億円の賠償支払いを完了した。
1か月ほど前と比べて約120件・150億円増加していて、ホタテやナマコを中心に、中国が日本産海産物の禁輸措置をとっていることによる取引中止の損害が多くを占める。
中国は2025年4月7日、2月にIAEA・国際原子力機関の枠組みで実施した海水や魚の分析結果を明らかにし「異常は認められない」としながらも「今後の検査でも問題がないとは保証できない」とし、モニタリングを続ける姿勢を示した。
中国は、IAEAによる監視を拡充し、安全性が確認されれば措置を解除する方針を示しているが、現状で具体的な解除のスケジュールなどは決まっていない。


国と東京電力が掲げる廃炉の完了は2051年。
タンク内のトリチウムがゼロになるのも2051年と計画されている。