暑熱順化をはじめよう! 急に暑くなる5月も熱中症に要注意 汗をかく身体づくりを2週間続ける
本格的な夏を迎える前の5月でも、熱中症に注意が必要だ。2024年の熱中症での搬送人数う(福島県)を月別で見ると、7月が482人・8月が479人と突出しているが5月でも65人が症状を訴えて搬送されている。そして、発生場所のおよそ半数が住居となっていて家の中でも水分補給が重要だ。
身体がまだ暑さに慣れていない時期、「暑熱順化」が重要となるが何をすれば良いのか?
■消防も重要視「汗をかくこと」
日差しが降り注ぐ、午後1時。福島市消防本部で行われていたのが「暑熱順化」の訓練だ。5月から6月までの2カ月間、体を暑さに慣らし熱中症になりにくい体を作っている。
重さ約10キロの防火衣を身に着けての階段の登り降りで、体の熱を逃す汗をかきやすくしている。約30分間の訓練を終えると、大量の汗が流れていた。
福島消防署・高度救助隊長の菱沼大輔さんは「体は急に暑さに慣れないので、徐々に慣らしていく。市民の安全安心のために、各隊員がそれぞれベストパフォーマンスを出せるようにこの訓練を経て、しっかりと期待に応えられるようにしていきたい」と語った。
■湯舟につかって暑熱順化
福島県福島市・飯坂温泉の共同浴場「鯖湖湯」。この日のお湯の温度は、約48℃。
暑い日に熱いお風呂とは熱中症が心配だが、常連客からはこんな声も...「熱中症になったことないよ。対策は全然してない。温泉は一日おきに入っている」「熱中症との関係は分からないけど、今まで暑いなか外で仕事しても熱中症とかそういう症状が出たことはない」と、常連客のほとんどが熱中症知らず。
温泉は熱中症の対策に効果はあるのか?保健師に聞いてみた。
福島市保健所の薄井彩さんは「湯舟につかる入浴は、汗をかく体を作り・暑熱順化に有効と言われている。温泉でお湯につかることは暑熱順化に有効かと思う」と話す。
熱いお風呂に長時間入浴することは、脱水症状などを引き起こし厳禁だが、シャワーではなく適度な温度で2日に1回程度湯舟に浸かることで暑熱順化につながるという。
薄井さんは「日常生活の中ではできるだけ階段を使う、入浴では湯舟に浸かるなど意識して汗をかくことが大切。普段からバランスのいい食事や、適度な運動、十分な睡眠を心掛けることが大切。運動する際は無理をせず、塩分や水分の補給を忘れないようにしてください」と話した。
個人差もあり、2週間ほどはかかるという暑熱順化。徐々に体を暑さに慣れさせるためにも継続が大切だ。
■熱中症対策 事業者に規制
そして、この熱中症対策について2025年6月からは事業者に対し新たな規則が施行される。
仕事現場で熱中症で死亡した原因は、ほとんどが初期症状の放置や対応の遅れだった。まずは、現場で死亡・重篤化させないための対策をとるべく、夏の厳しい環境下での作業が見込まれる場合には体制の整備などが義務化される。
また職場においての対策もいくつかあり、その中には「暑熱順化」も入っていて「事業者は計画的に暑熱順化期間を設ける事が望ましい」と呼びかけられている。
改めて暑熱順化は、歩く・走る・自転車・入浴など、日常生活のなかで無理のない範囲で、数日から2週間続けることが大切となる。生活のすき間時間にはじめてみてもよさそうだ。