処理水の海洋放出から2年 いま福島県の漁業は 中国などで続く県産品の輸入規制 廃炉完了まで続く不安

福島第一原発で処理水の海洋放出が開始されてから8月24日で丸2年を迎える。福島県いわき市の漁業関係者の声から現状と今後の課題を見ていく。
■漁業関係者も処理水の懸念はなくなり
福島県いわき市の沼之内漁港。8月22日朝に水揚げされたばかりの新鮮な魚介類がならんでいた。仲買人の猪腰洋治さんは「会話の中、言葉の中にも、その処理水云々って言葉はもう出てこなくなってますね。それだけきちっとした形でね、国の方でも管理をしながら放水してると思うんで、今後もね、大丈夫だと思いますけど」と話す。
■処理水の海洋放出から2年
増え続けるタンクを減らし廃炉に向けたスペースを確保するために開始された処理水の海洋放出。8月7日からは通算14回目の放出が始まり、これまでに約11万トンが放出されている。最初の放出から8月24日で2年となるが、漁業関係者や消費者からも懸念の声はほとんど聞かれなくなっている。
大阪府の人は「(処理水は)そこは全然、気にならないです」と話し、茨城県の人も「数値で観れば安心できるので、感情で考えずに理論的にというか」と話す。
■中国などで輸入規制継続
一方で、中国など一部の国や地域では、原発事故や処理水放出に伴い福島県産食品の輸入規制を現在まで継続。科学的な安全性を心理的な「安心感」につなげる努力が求められている。上野台豊商店の上野臺優社長は「『安心』っていうのはもう、人と人のコミュニケーションだったり、その人の心の中のものなんで、なかなか時間かかりますし、こう食べる機会だったり、情報発信で、魅力を伝えていくことしかできないのかなと思いますね」と話す。
■廃炉まで関係者の不安は続く
廃炉の目標とされる2051年まで放出が続く処理水。いわき市で40年近く漁師を続けてきた岩塚昌広さんは、福島第一原発の安全な廃炉が実現しない限り、関係者の不安は続くと話す。「いま現在、燃料のやつ(燃料デブリ)だって、また取れていないわけでしょ。そのまま爆弾背負っているのと同じなんだから、責任を持って、最後の最後まで責任を持ってもらえなきゃ。もうダメだよね」と話した。