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3.11津波被害から15年目 遠地津波で初めての警報 緊張が走った沿岸 揺れを感じない津波【福島発】

1ヵ月ほど前の7月30日、福島県の沿岸には津波警報が発表された。東日本大震災から15年目の今年、あの日を思い起こす不安が福島県内を襲った。

■緊張走る!遠地津波で初めての警報

「畑、もしくは田んぼがあった所だったと思うんですけれども、海に仕掛けてあった定置網に鉄塔のようなものが巻き込まれてそのまま流されてきています」2011年3月11日、地震と津波、そして原発事故に襲われた福島県。直接死・関連死合わせて4179人の尊い命が奪われ、約2万5千人が今なお避難生活を送っている。

被害から15年目となる今年、沿岸部には「あの日」の記憶を呼び起こすような緊張が走った。「津波警報が発表されました。海岸付近の方は高台に避難してください」
2025年7月30日、ロシア・カムチャツカ半島付近で発生した地震に伴い、最大3メートルの津波が予想される津波警報が発表された。いわき市など7つの自治体の約11万世帯、24万6千人あまりに避難指示が出され、あわせて47の避難所に1600人あまりが身を寄せた。

避難した人は「サイレンが鳴っていたのでびっくりしたというのもあったんですけど、洗濯物も干して落ち着いたら避難しようかという感じだったけど、慌てて避難してきた」「3.11の時のことを頭に入っているでしょう。だから、ここ(避難所)に逃げていくかと来た」と話す。

福島県内で観測された津波の高さは、相馬で最大70センチ、いわき市小名浜で最大60センチ。3.11とは違い、遠くの地震が引き起こした津波への対応に、県内では新たな課題も浮き彫りになった。

■「遠地津波」防災マイスターの解説

東日本大震災の時とは違い、地震の揺れを感じない、不気味な津波だった。
東京大学大学院の客員教授で防災マイスターの松尾一郎さんは「なぜ津波が発生するのか、理解することが重要。日本は、太平洋を囲む環太平洋火山帯の端っこにあって、地震も火山も多い国。太平洋のど真ん中に海の下に大きな地殻(プレート)があって、それが年間約10cm北西方向に動いて、沈み込む。これが、カムチャッカや東日本大震災の地震・津波の基になっている」と解説する。

また、遠地津波については「日本より600km離れた場所で発生する地震に伴うもの。遠いので、揺れはほぼ感じない。1960年チリでM9.5の地震が発生、津波が起こって20時間かけて日本を襲った。”地球の真裏で起きた地震にもかかわらず”最大で6mもの津波が到達し、全国で139人もの死者が出ている。いまは、情報が的確に発表されるので、津波の恐れがあったらきちんと避難すること」と話した。