疑惑のカネの行き先は反社会的勢力へ 巨額の不正融資問題のいわき信用組合 使途不明金10億円が流れる
金融機関としての信頼に関わる実態が次々とあらわになってきた。いわき信用組合(福島県いわき市)の巨額の不正融資問題で、「使途不明」とされてきた「疑惑のカネ」の行き先は、なんと反社会的勢力だった。
■不正融資で作ったカネは反社へ
特別調査委員会が明らかにした「いわき信用組合」と「反社会的勢力」の信じられない繋がり。
会見で特別監査委員会の貞弘賢太郎委員長は「今回、不正融資として作られた金の大部分は、反社会的勢力=反社と評価すべき者からの不当要求に対する支払いに充てられた部分が相当あったというのが我々の結論」と話した。
■不正融資は247億円超え
発端は2025年5月、第三者委員会が公表した不正の構図にさかのぼる。
「いわき信用組合」は、疲弊した大口融資先を助けるため、事業実体のないペーパーカンパニーや勝手に作った顧客の口座で迂回融資を実施。
それを元職員の横領の補填にも充てるなど、不正融資247億円超えという信じられない実態だった。
■10億円規模の使途不明金
しかし、さらに疑惑は残される。
不正でねん出した金額と「ごまかし」に使った金額が合わず、計算上、10億円規模の「使途不明金」が発生。
そして今回、この大部分が「反社会的勢力」に流れたと判明した。
いわき信用組合は、旧経営陣などに対し刑事・民事両面での責任を追及する方針だ。
■なぜ?反社とつながった?
いわき信用組合によると、きっかけは1990年代。
組合が右翼団体のターゲットとなってしまい、反社会的勢力に「解決金」を支払ってこれを止めさせたというのが始まりだった。要求はエスカレートし理事長が変わっても代々受け継がれてきたと見られる。
■隠ぺいも明らかに
これを隠したかったのか、いわき信用組合は不正融資のリストなどが記録されたパソコンを、第三者委員会の調査が始まった直後に前の役員が、自らゴミとして捨てるなど隠ぺいも明らかになった。
調査委員会に対して「もっと早く切るべきだった」などと後悔の言葉を述べているというが、地域経済を担う金融機関としてあるまじき姿勢だ。
金融庁からは、新規顧客への融資業務の1カ月停止などの行政処分が出されていて、失われた信頼を取り戻せるかどうかが大きな課題となっている。
















