ニュース

初冬になっても熊出没 冬眠には個体差が 冬間近の奥会津でも警戒続く 人里から遠ざける対策が重要に

11月27日の福島県でのクマ目撃は、午後5時時点で8件。季節が冬に変わり始めたこの時期も引続き注意が必要だ。

■きょうも熊出没
27日午前8時前、西会津町尾野本では、民家近くで栗の木に登る体長約70センチの子グマが目撃された。クマは6時間ほど木の上に留まったのち自ら木を降りてワナにかかり、その後駆除されたという。
近隣に住む人は「後ろから襲われる不安はある。生活が脅かされているから、これも致し方ないかな」と語る。

■昭和村では90頭以上を駆除
「異常事態」とされるほど、クマの出没が相次いだ今年。いまは冬眠が始まる時期だが、気を抜けない状態が続く。
まだ明け方の時間帯に山に向かうのは、昭和村役場の職員で猟友会に所属する菅家祐博さん。毎日、出勤前に村内に設置した30カ所のワナを全て見回っている。
本来は、シカやイノシシなどを捕まえるためのワナだが、今年はクマがかかることも多く、村内で駆除した数は90頭以上にのぼる。

■人里から遠ざける対策を
人手不足のなか、駆除による多くの手間を省くためにも、山に人の気配を残すことでクマを人里から遠ざける対策が重要だと菅家さんはいう。
「例年だと時期によっては里から離れたり、また近づいてきたりというパターンだが、今年はずっと里付近にいることが多かった印象。クマが出てこなくなるというのが一番理想かなと思う」と話した。

■クマの早期発見・行動抑制のために
一方、福島市では11月27日午前9時ごろ、在庭坂堰上で柿の木を登る体長約1mのクマが目撃された。
相次ぐ目撃を受け福島河川国道事務所は、11月25日からあづま総合運動公園近くの河川敷で樹木の伐採とヤブ払いを実施している。
年内を目途にクマの目撃が多かった八木田橋など福島市内の河川沿い・約7万平方メートルで作業を行う予定だ。
福島河川国道事務所の猪股格さんは「クマの早期発見、移動の抑制というところに資すれば、地域の方々の安全・安心になるかと思う。引続き取り組んでいきたい」と語る。
また福島商工会議所は、赤外線カメラを搭載したドローンを使いクマを発見する方法を提案。茂みに隠れたクマも見つけやすく、今後実用化に繋げたいとしている。

■目撃件数減少 冬眠に?
クマへの警戒が続けられているが、目撃件数は急増した10月に比べると11月は100件ほど少なくなっている。
福島大学食農学類の望月翔太准教授によると「多くのクマが冬眠をし始めている」として、これから徐々に人里に現れるクマの数も減ってくるとしつつ、12月中旬までは注意が必要と呼びかける。

■冬眠にも個体差 引き続き警戒を
背景にあるのがエサ不足。望月准教授は「少しでも満足したから冬眠をするクマもいるし、ずっと諦められなくて徘徊しているクマもいる」と話し、食欲が満たされず冬眠に入る時期に個体差があるという。
さらに「特に人里付近で生活が慣れているクマは、まだまだ冬眠をしない可能性もあり注意が必要」と指摘する。
さらにエサ不足の影響で、冬眠明けが早くなるクマも出てくる可能性もあるとして、当面はクマ鈴の携帯や複数人での行動を心がけてほしいとしている。