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日本遺産"会津の三十三観音めぐり"に危険信号!? 6年後の再評価で「入れ替え」も示唆

文化庁は12月24日、日本遺産の総括評価・継続審査の結果を発表し、福島県内の日本遺産「会津の三十三観音めぐり~巡礼を通して観た往時の会津の文化~」については、6年後の審査の結果次第では日本遺産から"脱落"する可能性もある「条件付き認定継続」となった。

「日本遺産」は2015年から始まった取り組みで、地域の歴史的魅力や特色から、日本の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定する。従来の文化財は「点」として個別に保存されていたのに対して、日本遺産は、寺社仏閣や伝統芸能、食文化などの文化財をひとつのストーリーとして認定することで「面」としての活用や発信が期待できる。
現在の認定数は104で、日本遺産のブランド力強化などのため、認定件数を「100件程度」に維持するための審査制度が導入されている。

「会津の三十三観音めぐり~巡礼を通して観た往時の会津の文化~」は、会津若松市や喜多方市など会津地域の17市町村で申請し、2016年に日本遺産に認定された。
会津での三十三観音めぐりの起源は寛政20年(1643)、保科正之公の入封以降と伝えられている。当時、領民のあいだで伊勢参りや西国三十三観音巡りなどが盛んで、多額の費用が領外に流れていくのを案じた正之公が高僧らと計り、会津にも三十三所を定めたといわれている。おもに農村部の女性が、田畑の仕事が一段落した7月頃に、白装束に笠をかぶり、講仲間とともに「御詠歌」を唱えながら三十三観音札所を巡礼してまわったとされ、このストーリーや文化が「日本遺産」となった。

文化庁によると、「会津の三十三観音めぐり」は認定後6年が経過した2022年の審査では「日本遺産継続」となり、今回が2回目の審査。
観光客入込数やストーリーに基づく旅行商品の開発などの基準はクリアしたものの、企画運営の中心が行政で構成されているとの指摘。民間事業者や各寺院の意見を反映し、トータルコーディネートができる人材を育成するなど、構成自治体17市町村の連携を深めて実効性のある体制を整備することが求められた。
また、構成文化財の多くが地域住民の人的・金銭的負担で維持管理されていると指摘。今後の維持に向けた持続可能な財源確保の仕組み構築も求められている。

次の審査結果公表は6年後の2031年度。この期間中に、文化庁による書面審査や現地調査が行われる予定で、審査結果によっては全国で現在「日本遺産候補」となっている地域との"入れ替え"の可能性もあるという。