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創刊47年で幕...会津で愛されてきた『会津嶺」休刊 "地域の応援団"タウン誌を取り巻く時代の変化

長年、福島県の会津で愛されてきたタウン誌が休刊した。このタウン誌に込められた思いとは。

■会津地方初のタウン誌「会津嶺」
1979年、会津地方で初のタウン誌が創刊した。磐梯山を詠んだ万葉集の東歌からとってタイトルは「会津嶺(あいづね)」だ。
発起人は、福島県会津若松市出身の阿部隆一さん。歴史春秋出版という会社を立ち上げ、2025年12月に94歳で亡くなる直前まで会津地方文化を発信し続けた。
創刊から12年間『会津嶺』の初代編集長をつとめた竹田政弘さんは、阿部さんの人柄について「熱血漢」と語る。「あれだけの熱量をもって、地方文化を語れる人というのはなかなかいないと思う」と竹田さんはいう。

■地域の応援団として
【タウン誌を通して会津に文化の花を咲かせたい】
阿部さんの思いから歴史や文化、会津地方で活動する人にスポットライトをあて誌面を作ってきた。
竹田さんは「いろんな地域の動きを応援するのが仕事だと。応援するのがタウン誌の立ち位置の一番大事なところだと決めた。地域の応援団という形で"こんな面白いことやっている人いるよ""こんな頑張っている人いるよ"とか、そういうことを紹介したり繋いだりした」と振り返る。

■休刊を決める
創刊から47年、地域に密着し愛されてきた会津嶺だが、SNSの普及や人手不足などから「タウン誌の役割を一度考え直す時期にきている」などとして、2026年3月号で休刊を決定。564号で幕を閉じた。
広告を掲載するスポンサーなど、会員店を通じて配布されてきた会津嶺。
福島県会津若松市にある、創業・約50年の喫茶店。店内には必ず会津嶺があった。「来月からないのは寂しい。でも時代ですから、そういうことも踏まえて社長(阿部さん)も分かっていらっしゃったと思う。我々も頑張って自分の仕事を頑張るしかない」と、創刊当初からの会員店からは休刊を惜しむ声が聞かれた。

■学びの参考にも
会津学鳳高校SSH探求部は、会津盆地に発生する雲海などを研究している。研究する上でも参考となったのが、会津嶺の企画だったという。
副部長の吉田貴羅さんは「会津のことが詳しくかかれているので、読む側としてもだいぶ面白いものになっていて、参考になるところもたくさんあるので助かっている」と話す。
国土交通省の防災カメラや、自分たちで設置したカメラで霧のデータを収集・分析し、2025年度は只見川の川霧の発生条件の予測モデルを作成。福島県の研究発表会では地学部門で優秀賞を受賞した。
吉田さんは「観測したデータを元に、霧や雲海を予測できる機器を作っていければいい。雲海が会津盆地に発生するので、それと鶴ヶ城とのコラボが観測できれば観光資源としても有効活用できるのではないか」と話した。
地域の魅力を探求し発信する思いは、これからも紡がれていく。

■タウン誌を取り巻く環境
福島県内初のタウン誌は、1975年に郡山市で創刊した『街こおりやま』だが、2017年に終刊している。
タウン誌を取り巻く状況について、福島県内の情報を発信している『CJmonmo』は「紙やインクのコスト高もあり、全国的には紙媒体での発行をやめてウェブだけにするタウン誌もある」という。
ウェブやSNSの需要は高まる一方で、紙媒体も根強い人気があり、それぞれをうまくすみ分けしながら読者の期待に応えられるように誌面を作っているそうだ。