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熱中症...もはや気象災害 自然災害の年間犠牲者数を上回る熱中症での死傷者数

年齢・場所・時間を問わず発症する危険性がある「熱中症」 梅雨あけ前から猛暑日になるなど、発症リスクは高まっている。防災のプロも、自然災害での年間犠牲者数を熱中症の死傷者数は上回っていると指摘。熱中症で父を亡くした男性は「熱中症は災害」と警鐘を鳴らす。

◇動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。

死者1000人超の年も

厚生労働省がまとめたデータによると、熱中症で死亡した人の数は2000年は207人・2005年は328人だったが、ここ5年間でみると記録的な猛暑に見舞われた2018年の1581人をはじめ、2021年を除き1000人を上回っている。
東京大学大学院の客員教授で防災のプロ・防災マイスターの松尾一郎さんは「水害や地震などの自然災害による年間の犠牲者数は100人から多くてもで300人程度。熱中症による死傷者数は年間でそれ以上。新たな気象災害といってもよいと思う」と話す。

75歳以上の割合高く

概数のため2022年のデータはないが、過去5年はいずれも75歳以上で亡くなった人が全体の6割以上を占めた。
福島県内でも毎年のように亡くなる人が出ているが「元気」であっても一瞬で命を奪い去っていくのが熱中症だ。

熱中症で父が...遺族が語る"あの日"

2020年8月、福島県鏡石町の畑でうつぶせの状態で倒れている男性が見つかった。男性はすでに意識がなく、運ばれた病院で亡くなった。亡くなったのは、菅家信孝さん(当時76)死因は熱中症だった。

「一瞬にして、会うことできなくなってしまったわけですから。あまりにも突発的な感じで、改めて自然の怖さを身に染みて感じたところです」と語るのは、信孝さんの長男・信也さん。父親の最期の一日を鮮明に覚えている。

元気だったはずの父がなぜ

息子の信也さんは「本人は至って健康だった。本当に体力的にもありましたし。これと言って私たち家族は誰も心配するようなところはありませんでした」と振り返る。父・信孝さんは農業を生きがいにしていて、あの日は家族に何も伝えず一人畑に出かけたという。
「畑が周りから見えないところにあったものですから、私たちも異常に気が付かなかったのですが...」

政府も死者数を減らす対策

過去5年間で年間平均・約1000人が亡くなっている現状を受け、政府は2030年までに死者数を半減させる目標を掲げた。
熱中症の危険性が極めて高い環境が予測される場合に発表される「熱中症警戒アラート」 2024年度には、さらに一段上の「特別警戒情報」が新設される予定で、市町村長は冷房設備がある図書館やショッピングセンターなどを「クーリングシェルター」に指定できる。

熱中症は"災害"

熱中症は「命を奪うもの」・・・父を熱中症で亡くした菅家信也さんは、誰もが気を付けるべき「災害」だと考えている。「今はこの異常気象のなかで、いつ・誰が、年齢関係なく誰でも現実的に考えていかなくちゃならないと思う」と信也さんは警鐘を鳴らす。

発症の場所も重要

福島県内では2022年の熱中症1287件のうち558件が「住居」での発生だった。
防災マイスターの松尾さんは「78歳以上の後期高齢者のみなさんは、戦後まもなく、何もない時代に生き抜いてきた方々。昔は、エアコンもなかった。なくても、夏場の暑い時期は、扇風機で少し我慢すれば良かった。でもいまは、地球温暖化の影響で自然も変わり、他県では40℃を超えるところも出てきた。蒸し暑い時期も6月半ばから9月過ぎまで続くようになった。そもそも気象条件が昔と違う、それを自覚することが重要。熱中症は、下手したら命を落とす。我慢は禁物だと理解すること」と注意を促す。

電気代高騰でエアコンにためらい

少し気になるデータがある。ダイキン工業が実施した意識調査では、6月からの電気代の高騰を受けて75.2%の人が「エアコンを使用することにためらいを感じている」と答えた。また61.7%の人は「エアコンの使用自体を控えようと思う」と回答している。

エアコン使用のポイント

とはいえ、酷暑のなか熱中症予防にはエアコンは使用してほしい。電気代を抑えるためのポイントをおさらい。
●2週間に1回フィルターを掃除。一年間掃除しないと約25%無駄な電気代の上昇につながる場合がある。
●外から帰ってきて部屋の中が外よりも暑いと感じた場合、すぐにエアコンをつけず窓を開けて熱気を外に逃がす
●エアコンの風量は「自動」 風量を弱めるとファンの回転音も静かで節電になるイメージがあるが、室内の設定温度に達するまで時間がかかる。

熱中症は、暑さ対策と脱水対策

屋内でもエアコンの積極的な利用、水分補給など忘れないでおきたい。東京大学大学院の客員教授で防災のプロ・防災マイスターの松尾一郎さんも「年齢や個人によって、適正な環境は異なると思うが、熱中症で命を落としても元も子もない。熱中症は災害だと思い、75歳以上の方や体調が優れない方は早めに、かつ少し過度な対策を周り家族が誘導することが重要」と語る

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