1号機核燃料取出しカバー設置クレーンに不具合...1週間経過も復旧せず「夏頃完成」精査中<福島第一原発>

福島第一原子力発電所1号機で、使用済み燃料プールから核燃料を取り出すための準備作業として行われている「大型カバーの設置工事」。クレーンに不具合が発生してから1週間となるが復旧の見通しが立っていない。東京電力は大型カバーの設置工事について「2025年夏頃完成」と見込んでいるが、不具合が長引けば全体の作業にも影響が出る可能性があり、工程を「精査中」としている。
1号機の使用済み燃料プールには392体の核燃料が残されているが、2011年の事故で水素爆発を起こし、建屋上部が大きく破損していることから、取出しの際に放射性物質が飛散しないよう建屋を覆う大型カバーの設置工事が進められている。
これまでに側面カバー設置工事を進めていて、さらに側面と屋根カバーの間をつなぐ部品の設置工事を行っていたところ、2025年6月16日、この部品を持ち上げていたクレーンが停止。部品は既に設置されている側面カバーに固定され安定しているものの、クレーンの先の部分を地上におろすことができない状態が続いているため、次の作業に移ることができないでいる。
クレーンのワイヤーを動かす系統に何らかの不具合が生じている可能性があるが、発生から約1週間が経過した6月23日朝の時点で、まだ解消には至っていないという。
東京電力は大型カバーの完成を「2025年夏頃」と見込んでいるが、不具合を踏まえて工程を精査中。
その後の予定では2027~2028年度にプールの中の核燃料取出しを開始し、2031年内までに1号機を含むすべての建屋の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す計画となっている。
国と東京電力は福島第一原発の廃炉の完了を2051年と掲げていて、建屋に残る核燃料を安定して管理することは廃炉に向けた大きな課題となっている。