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官邸で再生利用の除染土 官房長官も視察 受け入れの理解広がるか 中間貯蔵施設が立地の住民は【福島発】

福島から東京に運び込まれた4tトラック1台分の土が、理解を広げるきっかけになるのか?

■除染土 初の再生利用は首相官邸

総理官邸の前庭を訪れた林官房長官や浅尾環境大臣。福島第一原発の事故による除染で出た土を、植栽の下地として“再生利用”した現場を視察するためだ。

7月19日午前4時過ぎ、福島県大熊町の帰還困難区域のゲート前にトラックがやってきた。中間貯蔵施設から運び出されたのは約2立方メートル、4tトラック1台分に相当する除染で出た土だ。
東京ドーム約11個分の除染で出た土などが保管されている中間貯蔵施設。放射能濃度が基準を下回る4分の3については“再生利用”する計画で、その最初の事例が総理官邸となった。




■安全性を確認し受け入れ先確保へ

環境省の職員:「放射線量は1時間あたり0.11マイクロシーベルトです。これはですね、施行前の放射線量は0.07から0.10マイクロシーベルト時間当たりでしたので、ほぼ同等でございます」
空間線量は工事前とほとんど変わらず。国は今回の事例を通じて“再生利用”の安全性などを広く発信し、受け入れ先の確保につなげたい考えだ。

浅尾環境相は「使用した除去土壌の量は、再生利用しなければいけないものに対しては僅かではありますが、これからさらに再生利用を進めていくことにつなげていければと思っています」と述べた。




■除染土の再生利用が最終処分のカギに

法律で2045年までに福島県外での最終処分が定められている除染で出た土。その量を抑えるためにも“再生利用”は欠かせない役割を担っている。
福島県の内堀知事は「今後も国において、さまざまな手法を検討し工夫を重ねながら、国民の皆さんの理解を深めるための取り組みをさらに推進していただきたいと考えております」と改めて訴えた。

■中間貯蔵施設がある地元の反応は

一方、中間貯蔵施設を受け入れた福島県双葉町の住民は…。「これから関東圏とか、全国の知事さんが、どういう風にみて、自分の所でも受け取ってくれても良いよと言ってくれれば、非常に有難いかなという風に思っています」「(対応が)遅いっていうよりも、皆忘れているんじゃないかなって、そういう心配がありますね。どんどん、どんどん、利用していただきたいなと思っております」といった声が上がった。

各省庁でも“再生利用”が検討されている除染で出た土。福島県外での最終処分まで残り20年を切った。