小名浜道路が開通 常磐道~小名浜港が約13分に 物流・観光・災害対応...その役割に期待が高まる【福島】
2025年8月7日に開通した「小名浜道路」は、常磐自動車道と小名浜港を結ぶ全長8.3キロの自動車専用道路で、所要時間はこれまでの約30分から約13分に短縮される。一日1万3800台の通行を見込み、開通によって物流機能の強化や交流人口拡大などが期待されている。
■物流機能の強化に期待
小名浜道路の起点となる小名浜港は、2024年に海外とのコンテナをやり取りする国際物流の「支流」としての定期航路が復活。また災害時に物資の受け入れ拠点となることも想定されている。
小名浜道路によって、常磐自動車道から小名浜港までの所要時間は約13分に短縮。このアクセスの向上で物流の強化が期待されている。
小名浜道路の開通に地元の運送会社「磐栄運送磐栄運送」の柳沼朋貴さんは「小浜道路沿いに物流倉庫を所有している。また、利便性が良くなることで物流効率が改善されることだけでなく、ルートの多様化により安定供給が可能になる」と話す。
今後、小名浜道路の沿線に新たな企業が進出すれば、運送業にとってもプラスに働くと想定している。柳沼さんは「新しくできた道路沿いに物流倉庫ができ、インターチェンジ付近に工場などが建設され稼働となれば、我々運送の仕事が増え、ひいては地域の活性化につながると考えている」と話す。
またアクセスの向上が働き方などにも良い影響を与えるとみていて、「道路の整備や渋滞の解消などによる移動の効率化が、ドライバーの労働時間短縮だけでなく、物流コストの縮小や環境負担低減等に大きく寄与する」と柳沼さんは話した。
■観光面・交流人口拡大への期待
そして、小名浜といえばいわき市有数の観光地の一つ。2025年9月には「いわき・ら・ら・ミュウ」が県内36番目の道の駅となる。
いわき・ら・ら・ミュウの小針正人さんは「今後、小名浜道路を最大限活用して、さらなる交流人口の拡大や小名浜の魅力の発信に努めたい」と語る。
常磐自動車道と小名浜港周辺がつながることで、さらに福島県の内外から多くの人が訪れることが期待される。
新たにつながった道路が、今後どのような効果をもたらすのか注目だ。
■復興再生道路って?
小名浜道路は福島県が整備する「ふくしま復興再生道路」のひとつでもある。
「ふくしま復興再生道路」は、原発事故で避難指示が出された地域を中心に浜通りと中通りをつなぐ8つの路線で構成されている。
電車や高速道路と組み合わせると網の目のようになっていて、福島県全体をみても浜通り・中通り・会津地方がつながるようになっている。
東日本大震災では、地震や津波によって交通網が寸断され避難や救援物資到着の遅れ、その後の復旧工事にも大きな影響を及ぼした。福島県は、「ふくしま復興再生道路」を復興や住民帰還の加速につなげたいとしているが、災害が起きたときの避難や物資の経路としての働きにも期待されている。