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福島市のクマ出没は2倍に増加 嫌がる音と緊急銃猟制度で住民の安全を守る【福島発】

福島市内でクマの目撃件数が例年の2倍に増加し、人身被害も発生。新たに「クマ忌避音響装置」が導入され、9月からは緊急銃猟制度もスタート。専門家は「様々な対策の組み合わせ」の重要性を指摘している。

■嫌がる音で寄せ付けない

クマの出没が相次ぐ福島市荒川上流の6カ所に設置されたのは、クマが嫌がる高い周波数とリズムを発する「クマ忌避音響装置」。福島市内では初めてとなる。

8月29日に公開された場所では、福島市が設置したカメラが河川敷を歩くクマを捉えていたという。
福島市によると、2025年は市内での目撃件数は約140件に上っていて、例年の2倍に。さらに、8月1日にはあづま総合運動公園で50代の男性がクマに襲われ、左足をケガする被害も発生している。

クマによる被害を防ぐためには「音響装置」だけでなく、対策を重ねることが求められている。
福島大学食農学類の望月翔太准教授は「出没を少しでも減らすという意味合いで使っているもの。これだけではなく、この河川沿いでは河川の周辺の刈払いも併用しながら、色んな対策を組み合わせてクマ出没に対応するというのが求められる」と語る。
クマの活動が活発になる秋が近付くなか、引き続き警戒が必要だ。


■緊急的な状況で発砲が可能に

全国でも相次ぐクマによる人身被害を防ぐために、国は2025年9月1日から新たな制度をスタートさせる。それが緊急銃猟制度だ。
人の日常の生活圏にクマが出没した場合、地域住民の安全確保など一定の条件を満たせば、市町村の判断で発砲が可能になる。

これまでは警察官が命令した場合を除き、市街地での発砲は認められていなかったので、要件が緩和された形だ。クマが建物に居座った場合など膠着状態にある場合、迅速な対応につながることが期待されている。

ハンター歴55年、福島県猟友会・会長の芥川克己さんは、これまで日常の生活圏に出没したイノシシに対して、発砲が許されず膠着状態を経験したこともあるという。
新制度で改善につながると期待する一方、「簡単に撃っていいと言われても、周りのこともありなかなか発砲できないのではないか。制度上は楽になったかもしれないが、任されたハンターに対しては負担が大きくなった部分もある」と話し、ハンターにとってはこれまで以上に責任が重くなると感じていた。

クマの生態に詳しい福島大学食農学類の望月准教授は、緊急銃猟について「大きな転換点になる」と話す一方で「銃を撃つ人は限られるため、どんどん緊急銃猟を実施すれば疲弊するのは人間側で、重大な事故に繋がりかねない。侵入防止対策と緊急銃猟をセットで考えていく必要がある」と指摘している。
安全に確実に緊急銃猟を実施するには、自治体側もクマに精通した人材を育てていく必要がある。