福島県の最低賃金が初の1000円超へ 働く人は歓迎も...雇用者は"年収の壁"による働き控えに苦慮
生活に直結する最低賃金の話題。直近5年間の福島県内の最低賃金の推移を見ると、2020年は800円、2025年は955円。こうしてみると年々上げ幅が大きくなり、急上昇している。気になる今年は...?
■福島県の最低賃金は全国36番目
大学生は「上がってくれるなら上がってくれるで、それはそれで嬉しいなと思います」と話す。働く全ての人に適用される「最低賃金」。福島県内の最低賃金は現在、時給955円で全国で36番目だ。
社会人は「(アルバイト時代の時給)少なかったです」「元々時給940円くらい?の時に働いていたので、その時は本当に生活しづらかったです。趣味とかに全然使えなくて」と話す。
■過去最大の上げ幅 福島県初の時給1000円超に
公労使の代表からなる「福島地方最低賃金審議会」は、今年の最低賃金の改定額について7月から議論を開始。9月2日に8回目の専門部会が開かれ、まとめられた意見は時給1033円だった。中央の審議会が出した63円の引き上げ額の目安を15円上回る78円と、このまま進めば過去最大の上げ幅となる。
5日に開催される審議会のあと労働局へ正式に答申され、所定の手続きを経て2026年1月1日から適用される見込みだ。
初の1000円超えの可能性に街の声は...大学生は「物価高とかもすごい時期ですし、やっぱり買い物とか行って、食材とか高いなと思うこと多いのでいいと思います」と話す。
一方で、上昇を歓迎しつつ、こんな声も...「(企業の)負担は大きくなるし、中小なんかはね、大企業はいいですよ。中小企業はやはり厳しいんじゃないですかね」
■雇用者側はパート従業員の働き控えが悩み
最低賃金の大幅な引き上げを雇用者側はどう見るのか...一日に15人ほどのパートタイム労働者が働くスーパー、福島市のいちいFOUR'SMARKET(ふぉーずまーけっと)山下店。この店では約30人のパート従業員が会計や品出し、惣菜の仕込みなどの業務を担っている。そのうちの20人ほどが扶養に入りながら働いていて、税金や社会保険の負担が生じるいわゆる「年収の壁」を意識しているという。
いちいFOUR'SMARKET山下店の夏井隆一店長は「ある程度所得が超えてしまうと、社会保険に入らなければならないという所もありますので、制限して、調整して働いていらっしゃる方もいますので」と話す。
最低賃金の上昇によって雇用者を悩ませるのが、この「年収の壁」に到達することによる働き控え。繁忙期は人手不足になる可能性もあるという。「やっぱり働く時間が短くなってしまったり、働く日数が限られてしまったりということで、ちょっと嬉しい事ばかりではないかなっていう感じ」と話した。
■全都道府県で最低賃金が1000円超えの見通し
福島県では例年8月に最低賃金の答申があるが、2025年は労使間の調整が長引き異例の9月に持ち越しとなった。
では他の地域はどうか。新たな最低賃金、東京は1226円、63円のアップ。そして東北では、60~70円以上上昇する県が多くなっている。秋田県では80円プラスとなり、お隣・宮城が1038円。新潟が1050円となっている。
今回新たに決まった最低賃金で初めて1000円を超えた県が増えた。目安通りに行けば、すべての都道府県で1000円を超える見通しで、今回の改定が最低賃金の大きな転換点になるといえそうだ。