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被告に懲役16年を求刑 郡山駅前の受験生死亡事故裁判 「未来は全て被告に奪われた」と遺族 福島  

福島県郡山市のJR郡山駅前で受験生が飲酒運転の車にはねられ死亡した事故の裁判で、検察は被告の男に懲役16年を求刑した。

■被告は故意の信号無視を否認
「眠気があり目をこすったりしていた」「事故直前にエアコンを下げるために操作をしていて信号を見ていなかった」これまでの裁判で「故意の信号無視を否認」している郡山市の池田怜平被告(35)。
2025年1月、郡山駅前で酒気帯びの状態で車を運転した上、信号を無視して時速約70キロで交差点に進入。大学受験の為に訪れていた大阪府の10代女性をはねて死亡させたなどとされている。

■争点は「危険運転致死傷罪」の成立
裁判の争点は、危険運転致死傷罪の成立。信号無視が故意か、過失か。9月10日開かれた論告・求刑公判。
検察側は、赤信号を確認する時間が十分にあったこと、蛇行することなく道路状況に応じて運転操作をしていたことなどから、信号表示に従う事ができる状況であったと主張。その上で4ヵ所の信号を繰り返し無視し、加速しながら交差点に進入していることから、信号表示に従う意図は無かったとして「故意による信号無視」であったと指摘した。
検察側は2人が死傷した結果の重大性、そして極めて悪質な犯行であることから懲役16年を求刑した。

■「一生かけて償い」と被告
一方、弁護側は池田被告が飲酒をし、注意力が散漫になっていたと主張。事故直前はエアコンのダイヤル操作で視線を落としていて、信号を故意に無視したとは言えないとして、危険運転致死傷の罪は成立しないと主張した。
最後に証言台に立った池田被告。「一生かけて償いをさせていただきたく思っております。私が何百回謝っても遺族に被害女性を返すことは出来ません」と述べた。

■もう一人の被害者の思い
9月10日の裁判では、事故に巻き込まれたもう一人の被害者、そして亡くなった10代女性の母親の意見陳述も行われた。
この事故では、自転車に乗っていた20代の女性も軽傷を負った。この女性は医療系の学校に通う学生で、「あの時適切な行動とっていれば、10代の女性を救えたのではないかと思い、本当に自分が医療の道を目指していいのかと悩むようになった」と述べ、涙ながらに10代女性の遺族に「申し訳ありませんでした」と述べた。

■被害者母の思い
そして、亡くなった10代女性の母親は証言台に立ち、こう述べた。
「娘と私たち家族の未来は全て池田被告に奪われました」
「都合の悪い所は覚えていないと言うなど態度をみていても反省しているようには見えませんでした」
「娘の命を奪ったこの事件が社会に軽くみられるようなことがあれば、また新たな犠牲者が生まれるかもしれません」
「悲劇を2度と繰り返さないためにも社会全体に対する警鐘となる判決を下していただきたいと思います」

判決は9月17日に言い渡される。