喜多方ラーメンを守れ! 発祥店も閉店する危機...起死回生は地元産新小麦 新たな魅力で食文化を守る
寒い時期に食べたくなるものの一つにラーメンがある。福島県にもおいしいラーメンがたくさんはあるが、その中でも喜多方市に注目する。「喜多方ラーメン」が根付く福島県喜多方市では、ラーメン文化を守りさらに発展させていこうと模索が続いている。キーワードは「地産地消」だ。
■元祖の店が閉店
喜多方ラーメ発祥の店「源来軒」。さっぱりとした醤油ベースのスープに、中太の縮れ麺。全国から愛されていた老舗は2025年9月に、物価高や作り手の高齢化などを理由に創業から101年の歴史に幕を下ろした。
閉店を知らず、県外から訪れる人も少なくない。新潟県長岡市から来た人は「やっていないんだ、やめちゃった?ちょっとショック」と口にする。
福島テレビの取材に対し源来軒は「本当はしっかりご挨拶をして閉店したかった。急な閉店となり申し訳ありません。愛してきてくださった皆さまに心から感謝申し上げます。」とコメントしている。
■ファン流出を懸念
喜多方市内で相次ぐ老舗ラーメン店の閉店。全盛期に約130あったとされるラーメン店は、高齢化や後継者がいないことなどを理由に半数近くまで減少した。
喜多方市・喜多方ラーメン課の東海林和宏さんは「有名店がどんどん姿を消す。それを好きでリピーターになってくれたお客様ががっかりして、他のラーメンに行ってしまうのではないか」と懸念している。
首都圏から喜多方市に訪れた人の8割が、訪問先に「ラーメン店」を挙げているアンケート結果もあり、喜多方ラーメンが観光を支えている。(※とうほう地域総合研究所「喜多方市の観光に関する調査」より)
■麺の改良で新たな一手
喜多方ラーメン文化のさらなる発展へ。新たな挑戦として約10年前に開発された「夏黄金(なつこがね)」という品種の小麦を「麺」に100%使用することに。
喜多方市内で主に栽培されている品種「ゆきちから」と比べると、麺にした際にコシが強いのが特徴だ。
試食をした関係者は「喜多方ラーメン独特のちぢれ太麺とも非常によく合っているという感じ」と話す。
福島県内では、2025年から栽培が可能になったばかりの夏黄金。「純手揉み中華れん」の一条和幸さんは「喜多方の生産者から仕入れた小麦を加工した麺を使っているという付加価値を付けて、各ラーメン屋さんがPRできるようになったらすばらしい」と期待する。
新たな小麦を使った「麺」で、喜多方ラーメンの魅力をさらに高めていこうとしている。
■地産地消の模索は続く
「夏黄金」は寒冷地向けの小麦で、福島県内での栽培は始まったばかり。喜多方市内でもまだまだ小規模だという。
今回の試食会では「夏黄金」を100%使った麺で、もちもちとコシのある食感を評価する声があった一方で、「強いて言うならスープとの絡みが気になる」といった声も聞かれた。
それぞれの店がスープと、それに合う麺にこだわりを持っているため、「夏黄金」が採用されるまでには時間がかかるかもしれない。
ただ、新たな小麦が将来的に農家、それに製粉や製麺業者、そしてラーメン店とそれぞれに相乗効果をもたらすのではないかと関係者は期待している。
喜多方ラーメンの文化を守るだけではなく、発展させていく新たな取り組みが続いている。
















