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「子どもが姿を消すのでは...」帰還率93%の地区の未来 暮らしを支える店が見つめたこの10年

福島県田村市都路地区は、2024年4月1日で原発事故による避難指示の解除から10年となった。商業施設を運営する渡辺美保さんは、若い世代が続いてくれればと来店客を明るく出迎え続けている。

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帰還住民の憩いの場に

田村市都路地区の商業施設「Domo岩井沢店」
10年前から、この店を営む渡辺美保さんは「震災後、家族が避難してしまって若い人たちは帰って来ない、自分たち世代の方が1人とか。ここで何か悩みとか、寂しさだったりをお話出来ればなと頑張ってきました」と話す。

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住民の喜ぶ顔が見たい

2014年4月1日。都路地区では原発事故による避難指示が解除され、住民が日常の生活を再開した。
この5日後にオープンしたのが、Domo古道店と岩井沢店。住民の帰還と地元の店を支援するため、国などが整備した。
震災前、自宅で店を営んでいた渡辺さん。採算を考えて再開をあきらめていたが、常連客の集う場所を作りたいと新しくできた商業施設の運営に関わることにした。
渡辺さんは「お店をやる事によって、自分の体がキツイというのもあったが、皆さんが喜んでくれる。ここがあって良かったという声を沢山聞けるので、やり続けてきて良かったんだなというのは10年振り返ると沢山ある」と話す。

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暮らしに欠かせない店

店に並ぶのは、生活に欠かせない食料品や生活用品。昼には弁当を並べて、地元で働く人やお年寄りの食を支える。
渡辺さんとの何気ない会話も、店を訪れる理由のひとつ。常連客からは「いろんな話を相談しながらやっていけるし、それで力になってもらえる」「なくてはならない。お店が他に無いし車を持っていないので」との声が聞かれた。

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復興を実感 一方で課題も

地区の人口は約1900人で、帰還率は93%。この10年を見続けてきた渡辺さんは「新たな企業が都路町内に入って来て、新たな賑わいがもたらされている感じがある。そういったお客さんも増えてきている」と復興の歩みを実感している。

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一方で、地区が抱える課題も見えている。「若者が少ないというか、子どもがまず少ない。子どもが少ないという事はこれからの未来、10年後子ども達がここから姿を消してしまうんじゃないかっていう思いもある」と渡辺さんは話す。

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地区では、複合商業施設のオープンに向けて工事が進められている。渡辺さんはこの施設に店を移して、できるだけ長く続けたいと考えている。
「自分たちが出来る所まではやり続けていって、その後にここを頑張って担ってくれるような若い人たちを育てて行かなければいけないと思っています」と語った。

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来店客からの「どうも」の一言を聞くために、渡辺さんは笑顔で毎日店に立ち続ける。

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