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企業と大学生が参加「大人の工場見学ツアー」 県内就職を促進へ 企業同士が切磋琢磨し未来へつなぐ

企業同士が連携し刺激しあいながら、地域のための取り組みを行っている。そこには県外への人材流出への強い危機感があった。
大人の工場見学 その狙い
福島県福島市に本社を置く「ムネカタ株式会社」。創業65年、主にプラスチック製品の設計や製造を行うこの会社で、2025年11月に行われたのが「大人の工場見学ツアー」だ。
福島県内の自治体や企業など約70の団体でつくる「福島大学絆会」が主催した。企業同士が交流し意見を交わすことで、お互いに刺激を与えることを目的としている。
今回は地元の大学生も参加。地元企業の魅力を知ってもらうことで、若者の県内就職にもつなげるのが狙いだ。
ムネカタ株式会社の宗形俊取締役は「学生の皆さんには、そんなものづくりが福島にあること。そして、その現場で働く人の熱意を感じとっていただき、地元企業の魅力を再発見してほしいと願っている」と語った。

製造業 年々従業員が減少
福島県内の製造業は、東日本大震災前の2008年には従業員数が約18万5000人。しかし2024年は3万人以上少ない15万人余りに減少した。
震災による人口の減少だけでなく、働き手の県外流出は福島県内の企業が抱える大きな課題となっている。

大学生にも変化
研究開発から製造、販売まで一つの会社で担うムネカタの、企業の力を目の当たりにした学生たちは就職の選択肢の幅が確実に広がっているようだ。
参加した大学3年生は「元々は福島から出ようと思っていたけど、こんなに素敵な職業があると知れて、残って就職してみようという変化があった」と話し、大学2年生は「あまり製造業のことについて関心がなかったので、視野を広げるいい機会になった」と話す。

企業にもよい刺激
一方、大人の工場見学に参加した企業の担当者も、良い刺激を受けていた。
福島市の製造業「シオヤユニテック」の塩谷雅彦さんもその一人で、「地元のムネカタですので、是非ともこれは見ておかなければと。ムネカタの成長は、私が社会人になってから見てきているので、どうしても内部を見てみたいという興味があった」と話す。
シオヤユニテックの従業員は約30人。地元に根付く"板金屋"として、金属の切断から溶接まで、一つ一つ丁寧に製品を作り上げる。
会社を経営していくなかで、塩谷さんが福島への思いを強くしたのが東日本大震災だった。「浜通り地区で冷え込んだ部分を、どうにか中通り・会津で保ちながら、いずれ浜通り地区が元に戻ったときに、福島県は震災前よりいいよねって言ってもらえるように何かできないかなと」と塩谷さんはいう。

福島のためにできること
工場見学に参加した企業の思いは...「福島のためにできること」そこに集約している。
シオヤユニテックの塩谷さんは「金型を作ろうとしている方々の魂、本気度が伝わってきました。いい学びをいただけたかなと、新たな気付きのきっかけをいただけたかなと思っている」と語る。
ムネカタ株式会社の宗形俊取締役は「この共創の輪を広げ、福島全体の産業を強くする原動力にしていくことが私たちの最大の願い」と話した。
企業同士が切磋琢磨し、働き手にとって魅力ある企業が増えていく。そんな福島の未来を見据えている。


























