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防災大百科

自分事の防災教育 被災経験をいかし具体的な避難行動をイメージ

東日本大震災の後も、福島県は度重なる災害に見舞われてきた。教育現場の防災意識、特に子どもたちの意識にも変化が起きていた。被災経験を防災にいかす取り組みを行っている中学校を取材した。

動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。

防災教育 内容も具体的に

学校では、文部科学省が定める「学習指導要領」を元に教科書や時間割がつくられている。学習指導要領は約10年に一度改訂されていて、東日本大震災の前後で防災に関する内容が変わった。
以前小学校では、災害については「火災」「風水害」「地震」などの中から"選択して取り上げる"とされていた。一方、震災後は「過去に発生した自然災害、関係機関の協力に着目して災害から人々を守る活動を捉え、その働きを考え表現すること」と内容が具体的になり充実した。

経験を防災に

2019年10月に発生した「令和元年東日本台風」 福島県いわき市を流れる好間川では、堤防の一部が決壊し広い範囲で冠水。避難所に指定されている好間中学校には、地区の住民が身を寄せた。

あの日の経験を踏まえ、好間中学校は防災教育に力を入れている。
吉野敦広校長は「経験をクラスの中で共有していくことによって、次の災害に備えることが広くできる」と話す。
2022年度は学年ごとにテーマを分け、地区の防災マップの作成や避難所の開設訓練を実施。こうした活動が評価され、学校や地域で防災活動に取り組む子どもたちを顕彰する「ぼうさい甲子園」で、いわき市の中学校として初めて奨励賞を受賞した。

生徒会長の紺野陸翔さんは「僕自身、今まであまり防災に関しては向き合ってきたことが無くて。台風で被災者となったことで色々感じることがあって、防災に関して、今回の学習も通して向き合うようにはなりました」と話す。
紺野さんは当時、雨が強まり水位が上がるなか自宅から動くことがでなかったという。「空振りがあっても、命さえ助かれば」という思いから紺野さんが考えた標語【まよわない!!空振り恐れず早めのひなん!!】は、何よりも命を守る行動の大切さを訴えている。

好間中学校は2023年度、地区の自主防災会や消防団なども参加して防災教育を進める。地域を巻き込むことで「自助」だけでなく「共助」の意識を身につけていく。
生徒会長の紺野さんは「さらに防災・減災に繋がるような、地域の方々と災害に備えることをしっかり行えるように、協力していけるようなことを学べればいいと思っている」と話した。

万が一の時に、命を守る行動をとれるか?

文部科学省によると、全国の小学校を対象に行われたアンケートでは、避難訓練の実施率は「100%」と、すべての学校で行われた一方、地域特有の防災課題に応じた避難訓練は「27.8%」にとどまっている。

東日本大震災で、津波が校庭まで押し寄せたいわき市の豊間小学校で初めて行われたのが「下校中に津波注意報が出た想定の避難訓練」
平子克治教頭は「学校側としても、まず避難場所に行けば、子ども達に会える。その道中を確認していれば、子ども達に会える可能性は高まる」と話す。
登下校時は、子どもたちだけになる可能性がある時間。通学路に設けた高台の避難場所を確認し、子どもたちだけでも迅速に避難できるよう、学校と地域で考えた避難訓練だという。参加した6年生の児童は「6年生として、ちゃんと下級生を守り、この場所に連れて来ようということを学んだ」と話す。

豊間小学校では、毎年 豊間中学校と合同で訓練も重ねている。
学校にいるとき地震が起きた場合の一次避難先は校庭だが、津波の情報が出た場合は中学校の屋上に二次避難。この避難の際には、小さな子どもがはぐれないよう中学生が手をつなぐ「バディシステム」を導入するなど、独自の避難マニュアルを作成している。

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