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フカマル

恐れられた「安達ケ原の鬼婆」いまや愛されキャラに!?

福島県民なら誰でも知っているであろうものを、とことん掘り下げる「フカマル」
今回は、恐ろしく悲しい「安達ヶ原の鬼婆」について。恐れられた鬼婆が救世主になっていた!?

◇動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。

鬼婆伝説にゆかりある寺へ

福島県二本松市にある観世寺。第25世住職・中村円昭さんが鬼婆が住んでいたといわれる岩屋を案内してくれた。
「この場所が胎内くぐりと呼ばれているところになります。鬼ばあさんが潜んでいたところじゃないかといわれています」

安達ヶ原の鬼婆伝説

話は今から1300年前の奈良時代にさかのぼる。京都のお屋敷で奉公していた「岩手」が乳母として仕えていたお姫さまが、声が出なくなる病気にかった。占い師によると、妊婦の生き胆・肝臓を食べさせれば治るという。お姫様をなんとかしたいと責任感の強さから生き胆を求め二本松までやってきた。
そんな岩手のもとへ生駒之助と身重の恋衣の夫婦がやってくる。岩手はこの時を逃すものかと恋衣を手にかけてしまう。しかし、その恋衣こそが幼い時に生き別れとなった自分の娘だった。愛するわが子を殺めてしまった岩手は鬼と化し、通りがかりの旅人を次々に襲うようになった。

昔話ではない...裏付ける品々

言い伝えでは、そんな鬼婆も僧侶・東光坊祐慶に退治されたことで人間に戻ることができたと締めくくられている。しかし住職の中村さんは、鬼婆伝説について単なる昔話ではないと話す。寺には、鬼婆が使っていた出刃包丁や人の肉を煮たという鍋が保管されている。

鬼にならざるを得なかった

身の毛もよだつ恐ろしい所業を繰り返した岩手を、住職の中村さんは親しみを込めて「鬼ばあさん」と呼んでいる。「人間なんですよ。鬼じゃないんですよ。自分の娘を殺めてしまったことから、気が狂って鬼と化したということなので、鬼とならざるを得なかった。鬼ババアというより鬼ばあさんのほうが私は良いのかなと」と中村さんは話す。

現代でブレイク中

観世寺の近くにある「安達ヶ原ふるさと村」に、人気の土産ものがあるという。そでが鬼婆がリアルに描かれた「鬼婆せんべい」 2020年に登場した怖い鬼婆キャラ。今では、まんじゅうやサイダーなど様々な商品が販売されている。

元々かわいいキャラクターがいたが

でも「ふるさと村」のキャラクターといえば「バッピーちゃん」だったのだが...二本松市振興公社の熊本朋美さんは「バッピーちゃんを推してはいたのだが、コロナ禍で全体的に売り上げが下がっていたので、ヤンババに路線変更したら非常にヒットしまして」と話す。

強烈なキャラクターに路線変更

「ヤンババ」は、ふるさと村の「先人館」という施設にいるデコレーションを施したシニアカーにまたがる人形。アート作品として制作された「ヤンババ」は、ふるさと村のオープンまもない頃から存在していた。二本松市振興公社の熊本さんは「最初は怖かったですけど、見慣れちゃってかわいいなみたいな。かわいいおばあちゃんみたいになっている」と話す。ふるさと村では「ゆるババ」というキャラクターも登場。これからも、鬼婆にふるさとおこしを託す。

誰でも心の中に鬼がいる

阿武隈川の河川敷にある「黒塚」には、鬼婆・岩手の亡き骸が埋葬されたといわれている。鬼婆伝説はなぜ人々の心に響き、時代を超えて語り継がれているのか、観世寺第25世の中村円昭さんは「鬼っていうのは、いるんですね。人の中にね。でもそれは、死ぬまで付き合っていくことになるんです。ただ、その鬼がいつ出るかわからないんです。出ないようになんとか気を付けていけば、それはそれで良いのかもしれませんけどね」と語った。

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