福テレアナウンサーが「これだ！」と思った話題を伝える「アナこれ！」
今回は、我如古さん。東京パラリンピックで銅メダルを獲得した車いすラグビー日本代表・橋本勝也選手（21）　気合を入れて臨んだ東京パラリンピックで、意気込みとは裏腹にプレーできたのは10分ほど。銅メダルをかけた試合にも出場できず、悔しさが残った。2024年、パリで輝くために...次世代エースの今に迫る。

仕事を辞め競技に専念

この日、橋本選手が練習していたのは福島県福島市の体育館。地元・福島県三春町を拠点に活動しているため、トレーニングは基本的に福島県内で行っている。競技に専念するため、勤めていた三春町役場を2022年春に退職。「今後、エースを目指していく上では、そういった決断もありかなと思って」と語る橋本選手。仕事を辞めた決断の裏には、東京パラリンピックで味わった悔しさがあった。

決断させた仲間の言葉

「目標としていた金メダルに届かず銅メダルという結果に終わって、チームとしては悔しい結果だった。個人としては、それ以上にすごく悔しくて」と橋本選手は語る。さらに橋本選手に火をつけたのが、東京パラリンピックの３位決定戦後に日本代表の池崎選手からかけられた言葉だった。
「悔しかっただろうと。次のパラリンピックはお前の番だみたいな。その言葉で変わったのかなって僕の中では思っています」

正確な車いす操作

「パリではエースとしてチームの中心に」という新たな目標に向けて、力を入れているのが正確な車いす操作とスタミナの強化。車いす一台分ほどの幅に並べたコーンの間を、縫うように素早く通り抜ける練習。橋本選手は「細かく車いすを漕ぐことで、ディフェンスをかわす能力や、オフェンスを止めるためにも繋がる。持ち味としては、細かい車いす操作とか俊敏性なので、それを鍛える上でこのトレーニングを入れている」と話す。さらに、他の選手の動きを把握できるようにと、車いすを操りながら周りを見る訓練も行っている。橋本選手は「このメニューが最近は試合で活きているとすごく感じる」という。

同郷のトレーナーが支える

こうした練習メニューを考えているのが、車いす女子バスケットボール日本代表のトレーナーも務める野村潤さん。橋本選手と同じ三春町の出身で、福島県内でのトレーニングをサポートしている。

スタミナがウルトラマン！？

スタミナ強化のトレーニングは実に過酷。橋本選手の車いすを、車いすに乗ったトレーナーの野村さんが引っ張り、さらにもう一台も連なり負荷をかける。ダンプの大きなタイヤを引いて走るのと同じくらい辛いトレーニングだという。野村さんは「体力はついた。ウルトラマンって言われていた時代を考えると。コートに立つと、3分くらいでスピードが半分位になってしまっていた」という。

重要な一戦で活躍　成果が現れる

2023年7月、パリへの切符をかけたオーストラリアとの重要な一戦で、トレーニングの成果が現れた。試合終了間際、パスを受け取った橋本選手は、細かく素早い車いす捌きでボールをキープすると、相手選手をかいくぐってトライ。チームの勝利に貢献した。

エースへの道を着実に

日本代表の真のエースへ着実に近付いている橋本選手。パリパラリンピックでの目標を語った。「必ず金メダルを持って帰ってきて、皆さんと一緒に笑顔で振り返りたいなと思っているので、ぜひ応援をお願いします。ピッカピカに輝いたものを持って帰ってきます！」

橋本選手が目標としている、車いすラグビー界のスーパースターでオーストラリア代表のライリー・バット選手。橋本選手は以前「遠い存在」だと話していたが、「見える存在になってきている」と目標に近づいていることを実感していた。
パリパラリンピックまであと一年。目標を超えること、そして悔いを残さない活躍を期待している。