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がんと戦った19歳 治療で見えた地域医療の課題 遺志を継いだ新人県議の誓い「いわきの医療を変える」

医師でもある福島県議会議員が、19歳の青年と交わした約束は...「いわきの医療を変える」 医師を志したものの余命宣告を受けた青年は、治療を受ける中で目の当たりにした医療の課題が解決され、地元の医療が発展することを願った。

◇【動画で見る】動画はYouTube 福島ニュース【福テレ】でご覧いただけます。

新人県議 伝えたい思い

医師で県議会議員の山口洋太さん。初めての質問に立った。
「彼は、自分がガンによる痛みや精神的な苦痛で辛い状況でも、いわきの医療従事者の方々を思いやる、いわきで一番優しい方でした」(山口洋太議員 一般質問より)
言葉に力がこもる理由、それは2023年に出会った一人の青年の存在にあった。

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箱崎明日真さん 19歳

福島県いわき市に住む、箱崎明日真さん。「人間的に成長できた年だなと思っていて。病気にならなかったら今まで勉強漬けだったから、家族と過ごす時間も増えなかったし。色々な人と触れて人脈も広がり、関わり方もいろいろあってすごい充実した一年だったなと思います」と明日真さんはいう。

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大学受験を前に見つかったガン

高校の卒業、そして医師を目指しての大学受験を控えていた2023年1月、下腹部に強い痛みを感じたという。告げられた診断は、患者が100万人に4人から5人だけという極めて珍しい「がん」横紋筋肉腫。

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来年の桜は見られない...

いわき市に対応できる病院は無く、東京にある専門の病院で抗がん剤と放射線による治療を受けてきた。そして2023年11月、見通しをたずねた明日真さんに主治医はこう答えた。
「来年の桜は見られないかもしれない」
明日真さんは「19歳でもう死ぬのかとなると、さすがに厳しい部分ありますけど、友達が電話してくれたり、楽しいことや、やりたいことを見つけて立ち直ったというのが一番大きい」という。

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患者になって気付いた医療の現状

「医療従事者の方は、全員やる気に満ち溢れているというか、助けようとしてくれているのがものすごく伝わってくる」と話す明日真さん。医師は親身に、そして懸命に治療にあたっている一方で、医師が不足し医療には地域で格差がある現状を目の当たりにした。

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県議との出会い 新たな目標

そんな時に出会ったのが、福島県議選で初当選を果たした山口さん。いわきの医療体制の強化を訴えるために、力を貸してほしいと頼まれた。
明日真さんは「自分に生きる力をくれたというか、役割をくれたというか。そこは本当に感謝している」と話す。

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声を届けるために...しかしガンが転移

議会での質問に向け、治療の合間に重ねた打ち合わせ。山口議員は「本当にそのまま届けます。それがいわきの医療を変える近道だと思ってますので頑張ります」と意気込む。
2人で練った原稿は完成が近づいていたが、明日真さんは「がん」の転移が見つかり治療を中止。滅多に弱音を吐かない明日真さんの口から本音が漏れた。
「とにかく不安です。抗がん剤ができなくなっちゃったというのが、精神的に結構きてて、これからどうなっちゃうんだろうなって。治る手段がとれなくなってしまったのが、結構辛いです」

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最後まで頑張れ!

2024年2月12日、明日真さんの願いが一つ叶った。感謝の気持ちを伝えたいと開いたセレモニー。サッカー部だった明日真さんの思い出の地「Jヴィレッジ」に同級生や恩師など200人が集まった。
友人たちからは「3年間一緒にサッカーできて、かけがえのない日々を過ごせて、本当に幸せでした。最後まで頑張れ!明日真!」と声を掛けられた明日真さん。「またサッカーできるように、俺も頑張るから。みんなもこれからの人生、頑張ってほしい」と返した。

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明日真さんから感謝の思い

セレモニーの最後、明日真さんはスピーチで「いろんな人が来てくれて、本当に自分は愛されている人間だなとすごく感じた。今まで生きてきて、後悔がないっていうのは本当に珍しいことだと思う。
「本当に友達には感謝しています。みんなに感謝だし、これからどんどん自分がやりたいことを見つけて、それに友達の力も借りて生きていきたいなと思っています。きょうは本当に来てくれてありがとうございました」と語った。
この日から8日後の朝、明日真さんは家族に見守られながら静かに旅立った。

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遺志を継いだ新人県議

「いわき市では、重症患者を治療する急性期病院の数が、他の市と比べて少ないうえに深刻な医師不足を抱えているため、救急車のたらいまわしの割合は残念ながら県内トップです」(山口洋太議員 一般質問より)
救急車の患者の受け入れ先が3回までの問い合わせで見つからないケースや、受け入れ先が決まらず救急車が30分以上出発出来ないケースが、他の地域より突出して多いいわき市。加えて、慢性的な医師不足に地域による医療の格差。議会で山口議員は、現状を訴えて改善を求めた。
そして...「医師不足を解決して誰もが安心して暮らせるいわきになることを望んでいます。闘病中の僕(明日真さん)が医師となって貢献することが難しいので、僕は知事にお願いすることしかできません」と明日真さんの"声"を届けた。

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明日真さんが描いた地域医療の未来

これに対し、福島県の内堀知事は「いわき医療圏における、医師の確保や医療提供体制の充実に取り組んでまいります」と回答。
生前、明日真さんは「すぐ変わるとは思っていない。これから20年後30年後のいわきが、もっと発展している未来が想像できて、理想が現実になってほしいな」と語っていた。

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生きることを諦めなかった19歳

「医療で頑張っている人がいるので、その人たちが報われる世の中になってほしい」と願っていた明日真さん。
「とにかく日に日に成長するというのは難しいですけど、絶対に生きる希望は捨てないで、とにかく諦めないで毎日死んでたまるかと気持ちを強く持ちつつ生きています」と語っていた。
「生きることを諦めない」...常にまわりを思いやり、夢に明日に真っすぐ生きた19歳の願いだ。

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議会後、山口議員は「気持ち乗せていけたので、本当ありがたい。明日真くんのおかげで、一番大事なところ伝えられたかな。医療問題は、政治の真ん中にあるので、この問題が解決しない限りは追求していこうと思っています」と話した。

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地元の医療のより良い未来へ...バトンは繋がっていく。

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