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天体観測にうってつけ 定年後の移住で叶えた夢 十文字星見台・岸正一さん《もっと!ぐっと!下郷町》
神奈川から福島県下郷町へ移住した岸正一さんが建てた十文字星見台。定年退職後に39年前のハレー彗星の記憶を胸に実現させた天文台は、今や地域活性化の拠点として人と人をつなぐ場所になっている。
星への夢 定年を機に移住
福島県下郷町の山間に、ひっそりと佇むのは十文字星見台。天望遠鏡を覗いているのはオーナーの岸正一さん(67)。7年前この場所に自宅と星見台を建てた。
神奈川県川崎市で生まれ育った岸さん。勤務していた通信機器メーカーを定年退職したのを機に下郷町に移住した。「近所付き合いがほとんどない状態で、このままずっとこういう状態なのかと考えると、ちょっと飛び出したくなった感じがある」と移住の理由を語る。
いまや地域に欠かせない存在に
この日、十文字星見台で行われていたのは、8月に開催される地区のイベントの打ち合わせ。星見台を野外ステージとしても活用し、積極的にイベントを企画するなど、地域での交流を深めてきた。
十文字地区行政・区長の阿久津有信さんは「イベントなどで色んなお手伝いをしながらやっていく上で、村の人のまとまりが徐々にできているので助かっています」と話す。
原点となった天体ショー
星見台が叶えた理想の「第二の人生」。そんな岸さんに、きっかけを与えたのは39年前。1986年に76年ぶりに地球へと接近したハレー彗星で、日本中が天文ブームに沸いた。
当時28歳だった岸さんも胸を躍らせた一人。
「退職後は星がきれいに見える場所に天文台を建てたい」長年その夢を温め続けてきた岸さんは、社会人時代にたびたび福島県の南会津エリアを訪れていた縁から、下郷町に移住を決めた。
岸さんは「全国の星がきれいなところを見て比較してここに決めたという訳ではないんです。人と人との繋がりって本当に大切だと思う」と語る。
星好きたちの憩いの場
十文字星見台は、星を愛する人たちの憩いの場にもなっている。周りの灯りや視界をさえぎる物が少ない下郷町の空は、天体観測にはうってつけ。「見たい天体現象を狙っていた時に、全然ダメというときはガッカリというか宴会モードになる」という岸さん。曇りで星が見えなくても、仲間と空を見上げる時間がかけがえのない楽しみになっている。
移住で叶えた暖かな交流と星空に囲まれた生活。そんな岸さんに次の目標を聞いた。
「地域活性化の一助になれば、というくらいしか今は考えていない。しっかりここで生活している分、還元しないといけないとは思っている」と岸さんは話した。
十文字星見台は、メールか電話で前日までに連絡することで利用できる。また2025年8月2日には、星空のもとでフラメンコを楽しむイベント「第五回星空のもとでフラメンコ!en十文字星見台」を開催する予定だ。日常を忘れて、下郷町の夜空に癒されてみてはいかがだろうか?
<十文字星見台>
【メール】info@juumonji-hoshimidai.com
【電話番号】090-8506-4880
【利用料金】1人1000円(1時間でコーヒー付き)