福島県平田村にある就労支援施設「だんでらいおん」では、体や心に障がいを抱える人たちがパン作りや接客を通して働く知識と経験を身につけている。たんぽぽのようにたくましく根を張り、誰もが自分らしく花を咲かせられる居場所を目指す取り組みを取材した。
 

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心を込めて丁寧に

福島県平田村の就労支援施設「だんでらいおん」。ここでは布マットや革製品など手工芸品の製作をしている。さらには、カフェも運営。イチオシはマルゲリータ。そして、おいしく野菜がとれるグリーンスムージーも人気の一品。
カフェメニューのほかに、焼きたてのパンも販売している。
だんでらいおん・関根拳さんは「食べてなつかしいと思うようなパン。リピーターもいて、うれしい」と話す。

働くための知識・経験を

パンを作るのは、体や心に障がいを抱える人たち。だんでらいおんでは、一般就労が難しい人も受け入れていて、パンや惣菜作りや接客を通して働くために必要な知識と経験を身につけることができる。
利用者は「お菓子作りは楽しい。サブレとか、作れるようになった。将来の夢はお菓子屋さんになること」と話した。

悩む人の拠り所に

地元のNPO法人が運営するだんでらいおん。所長の瀬谷ノブ子さんは立ち上げメンバーの一人。当時、平田村には障がい者の支援施設がなかった。
瀬谷さんは「当たり前のことができなくて『我慢するのが当たり前』という考えは間違っている。悩みを抱える人の拠り所になりたい」と話す。
活動が浸透するまでには時間もかかったが、イベントやパンの移動販売などの交流を通して地域の応援の声も大きくなっていったという。
「前向きで一生懸命やっていれば、必ず応援してくださる人たちが集まってくる。必要としている人たちが集まってきて、ここで生き生き活動している姿を見たときに、"間違っていなかった""やってよかった"と思った」と瀬谷さんは語る。

自信をもつ　新たな道へ

福島県石川町から通う遠藤大輝さんは、内気な性格に悩んでいたが、だんでらいおんに通い変化があったという。「最初はちょっと緊張して、通う前は引っ込み思案なところもあった。ちょっとずつ突破できるようになってきているので成長を感じている」と遠藤さんはいう。
これまでに7人がここを巣立ち、新たな道へ進むことができた。
所長の瀬谷さんは「当たり前のことを、普通にできる居場所・仲間がいる場所。自信をもって一人ひとりが生活していけるよう応援団体でありたい」と話す。

「だんでらいおん」の意味は日本語で「たんぽぽ」。野にたくましく根を張るたんぽぽのように、誰もが自分らしく、それぞれの花を咲かせられる居場所でありたい。その活動はこれからも続いていく。