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eスポーツで高まる「幸せホルモン」が高齢者の孤独を解消 体力やケガの心配なく社会参加

「オキシトシン」は脳内で分泌され、「幸せホルモン」や「絆ホルモン」とも呼ばれている。身体の接触やスポーツなど、人とのポジティブな関わりで生まれる幸福感や心の健康などに、とても大切なホルモンだ。eスポーツが、この「幸せホルモン」を生む効果もあるという。
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高齢者がeスポーツを体験
この日、eスポーツイベントが行われたのは福島県喜多方市塩川町の公民館。
集まっていたのは、地元に住む65歳以上の高齢者。みなさん、eスポーツに興味津々の様子。ほとんどの人がeスポーツは初めてだそう。
72歳の五十嵐ミイ子さん。最初は「見ているだけ」と話していたが、体験してみるとあっという間に笑顔に。「やってみてすごく楽しくて、なんか明日腕が痛くなりそう」と話す。
また斎藤文子さん(80)は「頭の回転がよくなるんじゃないですか?指先動かすってことはいいので、あとは考えながらできるので良いかなと思います」と話した。
イベントを企画したのが、地域おこし協力隊の栗林拓哉さん。高齢者同士はもちろん、若い世代と交流を深めるきっかけとして「eスポーツ」に目を付けた。
「交流を通じてにぎやかさを地域に取り戻そうと思ってイベントを進めた。人を誘ってeスポーツをやってくれていて、eスポーツのハードルの低さがわかった」と手ごたえを感じていた。

eスポーツで孤独を解消
eスポーツが生む「交流」。
運動メカニズムを研究する筑波大学の松井崇准教授は、高齢者が抱きやすいある問題に良い効果をもたらすと期待している。
「孤独というのが、特に高齢者の間で不健康のリスクとして非常に大きなものがある。これは運動不足とか過度な飲酒や喫煙よりも、非常に大きなものがあるというのが研究でわかってきています」と松井准教授はいう。
さらに松井准教授が孤独感を解消するために必要なことに挙げるのが「社会参加」。人と直接的な関わりをもつことで「オキシトシン」、通称「絆ホルモン」が分泌されるという。
身近な社会参加には「スポーツ」も効果的だが、ケガや持病、体力に自信がない高齢者にとって体を動かすことは高い「壁」になる。松井准教授は「そこでeスポーツというのが非常に役立つ。年代も性別も超えて、障害の有無もできれば超えて、絆をはぐくむことができる。それが個人のメンタルヘルスや認知機能を高めるということ、そのメカニズムとしては絆ホルモン、オキシトシンが分泌、eスポーツならではの反応がある」と説明した。
秋田県には平均60歳以上の「マタギスナイパーズ」というeスポーツチームがあったり、大阪関西万博では最高齢94歳が参加したeスポーツ大会「Geeスポーツ大会」が開催されたりなど、eスポーツを通した交流も生まれている。

依存症に注意 対策も進む
しかし留意しなければいけないこともある。それが「依存性」だ。筑波大学の松井准教授によると、ゲームは「体を動かさず、脳だけを活発に動かすので疲れを感じにくい」といいう。そのため、熱中してしまい依存しやすくなるそうで、適度に楽しむことが大切になる。
脳への疲労を把握しようとする技術も開発が進められていて、松井准教授は「目の動きや、サーモグラフィーで顔や手の温度をはかっていくと、自分では気づきにくい、いわゆる"隠れ脳疲労"を精度よく検知できる技術も開発している。私たちの疲労の検知や、体の状態を検知する技術の進化もあわせていくことで、eスポーツは本当の意味でウェルビーイングを促進してくれるようなコンテンツになっていくのではないかと思っています」と話した。
このように様々な人が、様々な面でeスポーツを盛り上げようとしている。皆さんもeスポーツで世代を超えた交流をしてみませんか?

























