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世界一薄い絹織物と伝統の味 ~町が誇る二大特産品を巡る旅~《もっと!ぐっと!川俣町》

福島県川俣町は、福島市の東隣、阿武隈高地の北部に位置する町だ。この町には古くから受け継がれてきた二つの特産品がある。世界一の薄さを誇る「川俣シルク」と、食通をうならせる「川俣シャモ」だ。この町の宝とも言える特産品の魅力に迫った。
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1300年の歴史を持つ絹織物の伝統
川俣町の中ほどにある川俣中央公園。ここには女性の像が建っている。この像は、約1300年前に都からやってきた小手姫だ。小手姫は川俣町に絹織物を伝えたとされる人物で、養蚕と機織りの技術を人々に教えたと伝えられている。
川俣町と言えば「川俣シルク」と呼ばれるほど、絹織物は町の代表的な特産品となっている。
この伝統を受け継ぐ「齋栄織物」は昭和27年に創業。齋栄織物で作られたシルクは服飾だけでなく工業用など幅広く使われ、国内外で高い評価を受けてきた。

繊細な手仕事が生み出す極上の絹
シルク生産の工程は非常に繊細だ。まず、糸繰(いとくり)という作業でボビンに糸を巻き、次の整経(せいけい)という工程で指定された長さに揃えて生地のたて糸に使われる。
糸の長さが揃うと、針金のような「綜絖(そうこう)」に一本一本糸を通していく。生地を織るためには「設計図」が必要で、その設計図の指示通り「この穴には1本、この穴には3本」と、一つ一つ人の手で糸を通していく。
決して間違うことの許されない作業で、多い時には1枚の生地で2万本の綜絖に糸を通すこともあるそうだ。この綜絖を機織機にかけてよこ糸を通し、生地を織っていくのだ。

世界一薄い絹織物「フェアリー・フェザー」
齋栄織物の誇りは、世界一薄い絹織物「フェアリー・フェザー」だ。髪の毛の6分の1という超極細の生糸を織って作った生地で、薄く、重さを感じさせないのに見事な光沢と張りがある。
「この生地は世界一薄い生地になります」と取締役の田仲泰子さんは胸を張る。フェアリー・フェザーの商品化には4年の歳月がかかったという。
誕生のきっかけは、ウエディングドレスデザイナー桂由美さんの「ハレの日に重いウエディングドレスではなく、ダンスも踊れるような軽いウエディングドレスを着せてあげたい」という言葉だった。国内では輸入の安いシルク製品に押され、リーマンショックなどで輸出も低迷していた時期に、この言葉をきっかけに齋栄織物のフラッグシップとなる商品を作ろうと挑戦した結果、「フェアリー・フェザー」が誕生したのだ。
「あらゆるブランドから取引をいただいております」と田仲さん。どこのブランドかと尋ねると「契約上言えないので...」と口は固い。生地は軽いが口は重いようだ。
齋栄織物ではシルク製品の展示・販売も行っている。訪れる際には事前に連絡をお願いしたい。
<齋栄織物ショールーム>
電話:024-565-2331 ※事前に電話予約を
【営業時間】月~金 午前8:00~午後5:00

鶏の王者「川俣シャモ」の歴史と味わい
川俣町のもう一つの特産品が「川俣シャモ」だ。実は町の特産品「川俣シャモ」誕生の裏には、絹織物の存在があった。江戸時代、絹織物で財を成した旦那衆が娯楽としてシャモを飼い、闘鶏を楽しんでいたのだ。そんな町の歴史にちなんで川俣シャモは誕生した。
「道の駅かわまた」にあるレストラン「シャモール」は川俣シャモ料理専門店。なんと、ラーメンからピザまで、すべての料理に川俣シャモが使われているという。
一番のおすすめは「玉ひで直伝 匠シルク親子丼」(1,580円)だ。「玉ひで」は東京にある鳥料理の老舗で、親子丼が有名なお店。その玉ひで直伝のレシピを川俣シャモでアレンジしている。
「玉ひで特製のタレを使い、それに当店特製のシルクパウダーを混ぜ込んだ卵をかけている」という。

シャモールでは現在、秋冬メニューとして「あったか熱々鍋ランチ」を提供している。「シャモ鍋定食」も絶品で、シャモから出る出汁が最高だ。鍋ランチのメニューは数に限りがあるので、売り切れの際はご容赦を。秋冬メニューは3月いっぱいの予定となっている。
<シャモール>
【営業時間】午前10:00~午後3:00(L.O午後2時半)
【定休日】火曜日(月曜祝日のとき水曜休業の場合あり)

川俣町の二大特産品「川俣シルク」と「川俣シャモ」。どちらも長い歴史を背景に持ち、職人の技と情熱によって今に伝えられている。世界一薄い絹織物「フェアリー・フェザー」は文字通り世界に誇れる技術であり、「川俣シャモ」は江戸時代からの歴史を持つ逸品だ。
川俣町を訪れる際には、ぜひともこの二つの特産品に触れてみてはいかがだろうか。目で見て、手で触れて、そして味わって、川俣町の魅力を存分に堪能してほしい。

























