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劇場版「かげる針路」観客動員500人超に 上映期間は1週間延長 12月4日(木)まで

福島テレビが制作したドキュメンタリー映画「かげる針路」の観客動員が500人を超えた。

劇場版「かげる針路」は11月21日(金)から、福島県福島市の「フォーラム福島」で上映が始まった。

このドキュメンタリー映画は、福島テレビが今年5月に放送した番組を完全にリメイク。原発事故の教訓から再生可能エネルギーの推進に舵を切った福島県の"理想"と、いま広がる"現実"に迫った。

劇場版は、午前と午後の1日2回公開されていて、公開5日目の25日時点で観客動員が500人を超えた。また当初は11月27日(木)までの公開だったが、12月4日(木)までと1週間延長された。

「フォーラム福島」の阿部泰宏館長は「あれから15年、今や<フクシマの映画>は原発から再生可能エネルギーの最適解を模索するという、第二章の時代にさしかかったのかもしれない、そんな予感を抱かせる力作です」とコメントした。
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「フォーラム福島」の阿部泰宏館長が寄せたコメント全文は以下。

 一昨年の秋からとつじょ顕在化した、福島市における先達山メガソーラー問題。山の大規模な乱伐は景観を損なうばかりでなく、環境破壊や二次災害を引き起こすのではないかと懸念を訴える市民に対し、事業者が取ってきた対応は軋轢や不信を増大させるばかり。行政も抜本的な解決策が見いだせない状況がつづいています。

 地元局としてこの状況に着目。取材をつづけ、折々にニュースで報じてきた福島テレビ取材班がこのたび開局初の映画『劇場版 かげる針路』(監督:井上明)を製作しました。

 311以降、日本は原発に代わる再生可能エネルギー社会への転換を標榜したものの、はたして現在のありようは当初企図した通りのものなのか。映画は先達山メガソーラー問題を係数に、どんなエネルギー社会が望ましいのかを観客ひとりひとりに問いかけています。

 本作は現時点で、フォーラム福島のみの先行公開の段階で、広く宣伝がなされているとはいえません。にもかかわらず、県民の関心は高く、動員も好調です。何よりもうれしいのは、反響。「考えさせられた」「期待以上によかった」「他市や他県でも公開すべきだ」と帰りがけに声をかけてくださる観客も多く、地元に戻り友人に配りたいとチラシをたくさん持っていかれる方もいました。

 フォーラム福島ではとりあえず一週間、延長上映を決めました。メガソーラー問題のジレンマを抱えているのは日本中いたるところにあるわけで、この映画は必ずや他県の方々にも幅広い共感と深い議論を喚起させるはずと確信します。

 東京電力福島第一原発過酷事故はアート、サブカルチャーの分野にも大きな衝撃を及ぼしました。映画においても<フクシマの映画>と呼んでいいほど、原発事故について、たくさんの劇映画やドキュメンタリーが作られてきましたが、あれから15年、今や<フクシマの映画>は原発から再生可能エネルギーの最適解を模索するという、第二章の時代にさしかかったのかもしれない、そんな予感を抱かせる力作です。