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岐路に立つ銭湯 利用者の減少と燃料費の高騰...福島県では入浴料の値上げ検討へ 古き良き文化を残せるか

福島市北町にある「つるの湯」。1914年創業で、100年以上の歴史をもつ老舗の銭湯だ。しかし私たちのくらしに身近な銭湯が、いま苦境に立たされているという。

■年々、銭湯が減少
「昔は銭湯探すのに交番いらないといって、福島市内にも煙突があって、あそこにも、ここにもあるって」...と話すのはつるの湯3代目の片桐詔次さん。
1989年には福島県内に70以上あった銭湯だが、現在は8施設に減少。福島市内では「つるの湯」が唯一の銭湯となってしまった。
背景にあるのは、生活様式の変化に伴う利用者の減少と燃料費の高騰だ。

■岐路に立つ銭湯
「つるの湯」では最も多かった1980年頃と比べると、一日当たりの利用者は約半分に。一方、燃料費は10年前の2倍近くまで上がり経営を圧迫している。
東日本大震災時には避難者の疲れを癒すなど、大きな役割を果たしてきた銭湯。未来に残すことができるか岐路に立っている。
片桐さんは「昔はよく『銭湯廃れば人情も廃る』ということで、学校でも家でも教えないことを風呂屋にいって学ぶ。そういう意味合いも含め私も全力で一日でも長く営業していきたい」と語った。
つるの湯では12月21日に、ゆず湯のサービスを行うという。

■料金の上限額引き上げを検討
そして、福島県内の銭湯の存続をめぐって動きがあった。それが「入浴料金の上限額の引き上げ」だ。
そもそも銭湯の入浴料金は、物価統制令にもとづいて知事が上限額を指定することになっていて、福島県は大人が450円となっている。
銭湯の経営状況の悪化を受けて、福島県は11月19日に入浴料金の見直しを検討するための調査会を8年ぶりに設置し、上限額の改定について諮問を行った。
調査会は有識者や市町村の代表者などで構成され、12月中に県へ答申を行う予定だ。

■温泉共同浴場では値上げ
一方、福島市の温泉地にある共同浴場では、設備の老朽化などを理由に2025年2月に入浴料金が値上げされた。
飯坂地区の8つの共同浴場では、一律200円の値上げとなっている。